
「3階建ては階段が大変、ってよく聞くけど、実際、どういうデメリットがあるのかな」
あなたは今、そうお考えではありませんか?
3階建てを検討している方は、どんなことが暮らしていてデメリットなのか具体的に知りたいですよね。それがわかれば、自分は3階建てを選ぶべきかどうか、判断材料になります。
そこで、この記事では、3階建ての生活で経験するデメリットを徹底解説します。さらに、デメリットの解決方法と、3階建てならではのメリットについても説明します。
3階建てのメリット、デメリットを十分理解して、3階建てが自分に合っているかを判断するために、この記事がお役に立てば幸いです。
1. 3階建て8つのデメリットとその対処法
この章では、3階建て住宅のデメリットを徹底解説します。あわせて、デメリットを解決するための方法についてもお伝えします。
これを読むことで、3階建てに対して感じている漠然とした不安を解消し、迷いなく判断するための情報を得ていただきたいと思います。
1-1 重い荷物や食料品の運び上げが大変
3階建て住宅では、日常的に購入する食品や日用品を玄関から2階に運び上げる必要があります。
主要な生活の場であるLDK(リビングダイニングキッチン)が2階にある間取りが多いからです。
米や瓶入りの食品など、重いものは特に大変です。大きな荷物や箱買いしたペットボトルの飲料水などが宅配で届いたとき、玄関までしか運んでもらえないので、自力で上の階まで運ぶことになります。
1-2 重い洗濯物をベランダに運び上げるのが負担
3階建てによくある間取りでは、1階で洗濯したものを、2階または3階のベランダまで運び上げて干すことになります。
1階に浴室と洗濯機置き場があることが多く、物干し場と離れているからです。
家族が多く洗濯物の量が多い場合、毎日のこととなり、これはかなりの重労働です。
1-3 布団を干すときの上げ下ろしが重労働
3階建てでは、布団を干すときに、重い布団を抱えて何度も階段を上り下りしなければいけません。寝室の階にベランダがない場合があるからです。
重い布団をベランダまで運んで、また元に戻すのはかなりの力作業ですから、ひとりでやるのはちょっと大変ですよね。
1-4 大型の家電や家具の運び入れにお金がかかる
大型の家電(特に大型冷蔵庫)や家具を運び込む時、ベランダからクレーンで運び入れるなど大掛かりな作業が必要な場合があります。
なぜなら、3階建ての階段は、途中で折り返していることが多く、そこを曲がり切れないからです。
階段を通らない場合は、2階のベランダに下からロープで引き上げてキッチンやリビングに搬入することになります。
日常的に起こることではありませんが、クレーンで吊り上げる場合は搬入コストが別途3万円以上かかります。
家具については、組み立て式の家具を使うという手があります。
1-5 ちょっとした場面で感じる階段の昇り降りの負担感が大きい
実際に暮らしてみると、階段の昇り降りが思わぬ負担感をもたらすことがあります。
例えば、寝室の階にトイレがない場合、夜中にトイレに行くのが面倒だったり、寝ぼけていて階段を踏み外しそうになったりする危険があります。
体調が悪くて寝込んでいるときや、足にけがをした場合などは、3階を寝室にしていると、階段の上り下りがつらいことがあります。
また、3階建てでは、階段の幅が狭く、勾配が急だったり、180度折り返していたり踊り場がらせん状だったりすることが多いため、小さい子供や高齢の家族がすべり落ちたり、転んで思わぬけがをしたりする危険もあります(*1)。
他にも、忘れ物に気づいて3階まで取りに行かないといけないときや、3階にいて、お客さんや宅配便が来ると、下まで降りないといけないなど、面倒に感じることがあります。
こうした階段の昇り降りにかかわる負担感は、年齢を重ねるにしたがってだんだん大きくなります(*2)。
自分でスイッチを入れなくても寝室から出てパッと電気がつけばトイレに行きやすいからです。
補足: (*1)実際に「階段の足元が見えなかった」「階段がもう一段あると思い足を滑らせた」「加齢による体力低下のため」などの理由で階段での事故を起こした、という調査があります。 (*2)この点に関して以下のような意見が寄せられたという調査があります。 「3階建て住宅は、若い時は良いが年を取ると足腰が立たなくなるため、2階建て住宅が良いと思う(40代・女性)」 「上下の移動になるので、今後身体が不具合になると心配(膝痛,腰痛)(40代)」 などの意見や、住宅購入時に若かった居住者も居住年数が多くなるにつれて 「若い時は考えた事もなかったが、最近は階段の昇り降りが辛くなってきた(60代)」 「2階に上がって生活するので、年を重ねるたびに便利が悪いと感じる(60代・女性)」 |
1-6 エアコンの購入と取り付けにお金がかかる
各階に居室がある場合、3台のエアコンを取り付けることになり、エアコンの購入・取り付け費が高額になります。特に3階への設置で、部屋に隣接したベランダがなく、室外機を置くスペースがなければ
①室外機を1階か2階の屋根に載せる
②壁面に取り付ける
③室外機を1階に置いて配管を延ばす
いずれかが必要になります。
これらの作業は、別途見積もりによって追加料金が必要になります。家電量販店などの定める「標準取り付け工事」ではカバーされないからです。
1-7 3階だと揺れや震動を感じやすい
3階建て住宅は、強風で揺れたり、前の道路をトラックなどの大型車両が通ったときに揺れることがあります。
地盤との関係で揺れることも多いのですが、2階より3階部分の方がその影響を大きく感じるからです。
また、ビルトインガレージ(1階正面部分に車庫スペースがある)の3階建て住宅で、間口が狭く奥行きが長い形状の建物であれば、横風の影響を受けやすく、強風時に揺れを感じやすくなります。
前面道路側に玄関ドアと車庫の入り口があることが多く、その部分の壁量が少ないからです。
なぜなら、高い建物はそれだけ重心が高くなり、どうしても揺れやすいからです。
1-8 維持管理に費用がかかる
3階建ては2階建てより維持管理の費用が割高になります。
3階建て住宅の中には、隣の家や建物との間がとても近い位置関係になっていて、建物の横や裏側に人が入るのもやっとという物件があります。
外壁の塗装や屋根の補修を行なうとき、隣との空間が狭いと、足場を組んだり機材の搬入が物理的に難しく、別途費用がかかることが多いからです。
2階建てより1階分高さが高い分、単純に補修やメンテナンスのコストが高くつきます。
外から全体を概観したときに、人ひとりが入れないほど密接しているような建物をつくるのは避けるのが賢明です。
土地面積が狭くても、一定のスペースが隣家との間に確保できることを確認しましょう。大きな台風や地震の後には、物が飛んできたり倒れかかって、屋根や壁が損傷していないか、念入りにチェックすることをおすすめします。
気づかずに放置し、劣化が進んでしまうと、費用はとても高くついてしまいます。外壁を補修するために、室内側の壁を解体して外部の工事をするなどということもまさかと思うかもしれませんがありえます。
3階建てでは特に、定期的な点検、修理をこまめに行いましょう。余計なメンテナンスの費用を抑え、建物自体の耐用年数を長くできるからです。
2. 3階建て5のメリット
3階建ての一戸建住宅には、平屋や2階建てにはないメリットがあります。
実際、東京、大阪、神奈川などの大都市圏では、駅近の便利な場所にマイホームを持ちたいというニーズを満たす物件として、近年、高い人気があります。
どんなところが魅力なのか、3階建てならではのメリットをご紹介します。
2-1 限られた土地でも床面積を多く取れる
3階建て住宅では、土地の面積が狭くても、全体の床面積を増やすことが可能です。上に建て増すことで、部屋数を確保することができるからです。
都市部に住みたい方の場合、予算の都合や購入可能な土地の関係で、広い土地を確保するのが難しいこともありますが、3階分の床面積をプラスオンできれば、居住スペースを広く持つことができます。
2-2 駅近やアクセスの良い場所に家を持つことができる
駅や商業施設の近くで利便性がよく、かなり地価の高いエリアでも、3階建てなら一戸建てを持つことができます。
コンパクトな土地を最大限に活用することで、限られた予算の中でも1軒分の土地を購入できるからです。実際、都心の狭小地に売出し中の3階建て住宅が増えており、選択の幅が広がっています。
2-3 低層にはない自然環境の利点がある
3階までの高さがあるため、見晴らし・日当たり・風通しという平屋や2階建てにはないメリットがあります。
周りが低層の建物であれば、3階部分は頭一つ飛び出していて、屋外に面した開口部を確保できるからです。開放感、採光、通風の3つは3階建ての得がたい魅力です。
2-4 生活空間が区切られるのでメリハリがつく
階ごとに生活機能が分かれており、これによって生活にメリハリがでます。
1階は浴室や洗濯などのユーティリティ、2階は食事をしたり、家族が集まって共に過ごす共用スペース、3階は家族それぞれの部屋があり、思い思いにプライベートな時間を過ごすフロア、という具合に、生活シーンを分けることができるからです。
階ごとに区切りがついていると気分を切り替えやすくなります。
2-5 家族同士の適度なプライバシーを保つことができる
3階建てでは、家族間のプライバシーが守られるケースが多いようです。階が違えば、テレビの音や生活音、家族の声や人の気配が遮断され、独立性が保たれるからです。
家族同士のプライバシーを尊重し、それぞれの静かな空間を確保したいなら3階建てはうってつけです。
3階建て住宅については以下の記事もご覧ください▼
関連記事3. 3階建てが自分に向いているかを見極める4つのチェックポイント
3階建て一戸建てを選ぶべきかどうかで迷っている方は、のちのち後悔しないために、自分がそれに向いているのかどうかを見極めることが必要です。
どんな人なら3階建てに合うのでしょうか?そのチェックポイントは4つあります。
1.「これは譲れない」という条件が明確なこと
2.性格的に楽天的で、割り切りが早く前向きなこと
3.最終的に引っ越すことになっても大丈夫なこと
4.家族の合意が得られること
それぞれを具体的に説明します。自分はどうかな、と考えてみてくださいね。
3-1 「これは譲れない」という条件が明確なこと
3階建てに住んだ場合、1章でお伝えしたとおり、どうしてもがまんしなければいけないデメリットに直面します。
それを許容して生活していけるのかどうかをはっきりさせるために、自分としてどうしても譲れない点を明確にしましょう。
次の点を重視し、優先順位が高い方には、3階建て物件をお勧めできます。
①とにかく駅に近い場所、買い物に便利、外出しやすいなどの立地を最優先する場合
②予算に上限があって、狭い敷地面積しか確保できない場合
③建築面積が少なくても、部屋数を多くしたい場合
何を一番に求めるのかについては、ご自身はもちろんですが、家族それぞれが明確にしておかなくてはなりません。
3-2 性格的に楽天的で、割り切りが早く前向きなこと
3階建てに暮らし始めて不便なことやめんどうだと思うことに直面したとき、割り切って前向きに対処できたり、「住めば都」と楽天的にとらえる性格かどうかがチェックポイントになります。
なぜなら、どんな住まいでも100点満点で何の不満もない、ということはありえないからです。例えば、こんなことです。
①階段の上り下りについて「毎日運動になっていい」と前向きに考えられる
②3階建て住居での生活をきっかけに、階段の上り下りが苦にならないように、足腰を鍛えたりトレーニングを開始するなどポジティブ思考で行動する
③荷物運びなどの力仕事や、体調不良で階段がつらいときなど、家族を動員して協力体制を作ったり、都度工夫して臨機応変にデメリットを解決していける
こんなはずではなかった、といって立ち止まるより、工夫して行動できれば、3階建ての暮らしをエンジョイできるでしょう。
3-3 最終的に引っ越すことになっても大丈夫なこと
3階建ての一戸建てに終生住みたいという人はあまり多くないようです。住んでいる多くの人が、いずれは住み替えたい、3階建ては「終の棲家」ではない、と不満や不安をもっているのです。(*3)
このことから、「老後はできればバリアフリーの平屋に住みたい」と思ったときに、そういうアクションがとれるかどうかが一つのチェックポイントになります。
3階建ては一時期の住まいとして、老後は平屋やマンションに移り住む、という柔軟なスタンスなら3階建てが向いています。
将来的に、住んでいた3階建ての売却や賃貸を考えるのであれば、都心部の便利な場所に購入するなど、客観的な資産価値を視野に入れて土地や建物を選びましょう。
買い手や借り手が見つかりやすいからです。
補足: (*3)3階建て住宅に関する調査で、「3階建てにずっと住み続けたいか」という質問に対する回答として、「住み続けたい」29.4%、「住み続けたくない」36.0%、という結果が出ています。とくに敷地面積40㎡以下の3階建てに住む回答者では、42.4%が「住み続けたくない」と答えています。 |
3-4 家族の合意が得られること
デメリットに関して家族の合意が得られるかどうかが重要なポイントになります。
なぜなら、特に、階段の上り下りは毎日何度も必要なことで、こればかりは、エレベーターを設置しなければ解決しようがないからです。
その他のデメリットについても、家族が大丈夫、と言えるかどうか、確認しましょう。
家族それぞれが、メリット、デメリットを天秤にかけてどれを優先するのかを検討しましょう。どうしても譲れない条件、この点は譲ってもいいという項目の折り合いをつける必要があるからです。
4. まとめ
3階建て住宅のデメリットとその解消法は以下にあげる8つの項目です。
1.重い荷物や食料品の運び上げが大変
【解消法】1階に置いておくスペースを設ける
2.重い洗濯物をベランダに運び上げるのが負担
【解消法】洗濯機をベランダと同じ階に置く。または、洗濯乾燥機を使う
3.布団を干すときの上げ下ろしが重労働
【解消法】布団乾燥機を使う
4.大型の家電や家具の運び入れにお金がかかる
【解消法】階段を通るサイズの家電、家具にする。組み立て式の家具を使う
5.ちょっとした場面で感じる階段の上り下りの負担感が大きい
【解消法】その都度工夫をする
6.エアコンの購入と取り付けにお金がかかる
【解消法】エアコンを使わない工夫をする
7.3階だと揺れや震動を感じやすい
【解消法】地盤について業者に確認する。多少の揺れや震動は仕方がないと割り切る
8.維持管理に費用がかかる
【解消法】隣家とのスペースに余裕があるかを確認する。日頃から建物の状態に気を付け、台風などの後は外壁や屋根の状態を確認する
一方で、3階建てならではのメリットがあることもお伝えしました。そして、3階建てを自分は選ぶべきか?それを判断するチェックポイントについてご紹介しました。
この記事を読んでいただくことで、3階建て住宅を検討している方々が、不安を解消して、迷いなく決断できることとなれば幸いです。
(*1)~(*3)の補足は以下の論文を参考文献としています。 |
▼▼次にぜひお読みいただきたい記事です!▼▼
関連記事
コメント