
都市部でよく見かける3階建て住宅。住みやすいのかどうか、疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。
マンションや2階建ての家に住んだことはあっても、3階建ての家に住んだことがある人は少ないはずです。3階建て住宅でどんな暮らしが待っているのか、想像できない人も多いことでしょう。
そこで、この記事では、3階建て住宅の住み心地についてまとめました。まず、3階建て住宅の住み心地について多くの人から挙がる5つの質問を取り上げます。
3階建て住宅に住んだことがない人でも、住み心地をイメージしやすくなるでしょう。
さらに、住み心地の良い3階建て住宅を建てるために、気をつけたいポイントを4つ紹介します。
ここまで読むと、3階建て住宅の特徴がずいぶん把握できて、2階建て住宅などとの違いも見えてくるはずです。
最後に、「3階建て住宅をおすすめできる人」についてまとめました。
3階建て住宅の住み心地について十分理解できたうえで、ご自身にとって3階建て住宅が良い選択なのかどうか、最後まで読めば判断いただけると思います。
マンションや2階建て住宅と比べるとなじみの少ない3階建て住宅ですが、この記事を通してイメージをつかんでみてください。
3階建て住宅をあなたの住まいの選択肢とするかどうか、解決のお手伝いができれば幸いです。
目次
1.3階建て住宅の住み心地についてよくある5つの質問
この章では、3階建て住宅の住み心地について、多くの人が抱える5つの質問に答えました。
この5つの質問を読めば、3階建て住宅での暮らしがどのようなものなのか、思い描きやすくなるのではないでしょうか。
3階建て住宅のメリットとデメリットも見えてきて、あなたが抱いている疑問が解消するかもしれません。
3階建て住宅に暮らしたことがない人も、この章を通して、3階建て住宅の住み心地をイメージしてみてください。
やっぱり階段の昇り降りは大変です。長く住みたいなら最初から老後対策を。
【トイレを複数階に設置する】
3階建てであれば、トイレはできるだけ複数設置しましょう。特に高齢者にとって寝室と同じフロアにトイレがないと、階段の昇り降りが発生して危険も多いです。
寝室からトイレまでの動線は、可能な限り短くしたいものです。将来的に1階を寝室にする予定なら、1階に1つトイレを設置しておけば安心です。
年齢を重ねるうちに、身体が衰えるだけでなく、生活スタイルや家族構成も変化します。
3階建て住宅に長く暮らしたいのであれば、今だけでなく、数十年先の暮らしもシミュレーションして設計を考えるようにしましょう。
3階建て住宅の使い勝手は、2階建てと比べてどうですか?
3階建て住宅の場合、2階建て住宅と比べて、家事動線や生活動線が長く複雑になりがちです。
3階建ては土地の面積が狭い場所に建てられることが多く、1フロアの面積が小さめです。
階段も2階建てより1つ増えるため、動線の中に階段が入ってしまうことも多いのです。
例えば、1階に水回りを集め、洗濯機も1階に置くとします。日当たりの良い場所に洗濯物を干そうと思うと、2階や3階のベランダに干すことが多くなるでしょう。
そうすると重い洗濯物を持って階段を昇らなければなりません。特に、洗濯の回数が多いご家庭にとっては、毎日かなりの負担になってしまいます。
対策として、洗濯機置き場を2階にする方法があります。あるいは、外干しをしない代わりにパワフルなガス乾燥機を導入して、1階ですべて済ませるというご家庭もありました。
また、3階建て住宅は1フロアが狭く、フロアごとに部屋が細かく分断されてしまうため、2階建て以上に他の階の様子が把握しにくくなります。
3階建て住宅では2階にリビングを配置することが多いですが、例えばお子さんのいるご家庭の場合、1階に子供部屋を置いてしまうと、リビングに顔を出さないまま部屋にこもることも、そのまま遊びに行くことも可能になってしまいます。
コミュニケーションが取りやすい家にするためには、必ずリビングを通らなければ子ども部屋に行かれない間取りにしたり、吹き抜けを作って別の階の様子を伺いやすくしたりする方法がおすすめです。
大切なのは、ご家庭の家事動線や生活動線をしっかりシミュレーションしてから間取りを決めることです。
例えば洗濯機が1階の場合と2階の場合など、間取りを複数パターン考えて比較検討すると良いでしょう。
1階をガレージにしたいのですが、3階建て住宅の耐震性はどうでしょうか?
一般的には2階建てより信頼できますが、高い耐震等級を取得すると更に安心です。
一般的に、3階建て住宅の耐震性は、2階建てよりも信頼性が高いといえるでしょう。
3階建て住宅を建築する際の基準は、2階建てよりも厳しくなっているからです。
3階建て住宅を建てる場合、構造計算が必要です。構造計算とは、建物の安全性などを検証するために、地震や風などによって建物にかかる力を計算するもので、一定の強度があることを示せなければ建築できません。
これは、2階建て住宅には義務付けられていないものです。
しかし、1階にガレージを配置すると、1階に大きな開口部ができてしまうため、耐震性能が確保しにくくなるのは事実です。
対策として考えられるのは、「耐震等級」を高くすることです。
耐震等級は、住宅の耐震性をわかりやすく示す指標です。耐震等級には1から3まであり、3が最も耐震性が高くなります。
耐震性に不安を感じるのであれば、構造計算をして耐震等級3が取得できるような設計になるよう、依頼先の設計者に相談するとよいでしょう。
耐震等級を上げることでコストが高くなる可能性が高いですが、不安なまま住み続けるのは大きなストレスです。
コストも含め設計者とよく相談して、少しでも耐震性が高く、安心して住める家を建てられるようにしましょう。
土地が小さく、隣の家と近くなりそう。3階建て住宅の風通しや日当たりはどうですか?
2階や3階は基本的に風通しも日当たりも良好。反面、3階は暑さ対策が必要です。
3階建て住宅は、特に3階は風通しや日当たりが良好です。高さがある分、遮るものが少ないからです。
3階建ての場合は2階にリビングを配置する間取りも多いですが、1階にリビングを配置する従来の2階建て住宅と比べて、明るく開放感のある空間を作ることができます。
周辺環境にもよりますが、基本的には、3階建て住宅のほうが2階建てよりも明るく、風通しも良くなります。
むしろ、3階建て住宅の場合は、夏の暑さ対策を考える必要があります。
そもそも、暖かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まるものなので、どうしても1階に比べて3階が暑くなってしまうのです。
日当たりが良いあまり、3階は夏になると蒸し風呂のように暑くなる、という声もあるほどです。
暑さ対策として、断熱対策をしっかり行っておきましょう。特に、3階建て住宅の3階部分は、天井と屋根が一体になっていることも多いため、熱がこもって暑くなってしまいます。
3階の天井部分はもちろん、家全体の断熱性能を高める仕様とすると上下階の寒暖差が生じにくくなります。
また、風の通り道もよく考えておきましょう。窓を向かい合わせに配置すると、風が抜けやすい構造になります。
中庭を作るという方法もあります。窓の数が必然的に増えるため、風が通りやすくなって家じゅうの空気が循環しやすくなります。
良好な風通しや日当たりを活かして心地良く暮らすためにも、事前にできる限りの対策を取っておくことが大切です。
マイナス面も気になりますが、3階建て住宅に住んで良かったと思う点は?
利便性の高い場所に一戸建てが持てることが最大のメリットです。
3階建て住宅の最大のメリットは、利便性の高い地域に一戸建てを持てるという点です。
逆にいうと利便性の高い地域に一戸建て建設を考えると3階建てに行きつく、といえるかもしれません。
駅の近くなどの便利なエリアは、土地の価格が高くなるため、広い土地の購入は難しくなります。しかし、3階建て住宅なら、たとえ小さな土地しか買えないとしても、縦に高く建てることで十分な部屋数とスペースを確保できます。
都市部のにぎやかな商業地域などは、建物の高さ制限などの規制がゆるいこともあって、利便性の高い場所に3階建て住宅が多いのです。
通勤時間をなるべく短くしたい人や、生活の便利さを優先したい人が一戸建ての住宅を計画する場合、3階建て住宅となる可能性が高くなるわけです。
立地は譲れないが予算が限られている、でもマンションではなく一戸建てが欲しい、といった場合に、3階建ては良い選択肢になります。
2.住み心地の良い3階建て住宅を建てるために気をつけたい4つのポイント
この章では、住み心地の良い3階建て住宅を建てるために、気をつけておきたいポイントを4つ紹介します。
この4つの点をおさえておけば、将来にわたって住みやすい3階建て住宅を建てる一助になることと思います。
1章を読んで、「3階建て住宅もいいな」と思った方は特に、実際に3階建て住宅を選択した場合に考えることとして、頭に入れておきましょう。
2-1 動線を丁寧にシミュレーションしてから間取りを決める
3階建て住宅を建てるときは特に、間取りを決める際に動線を丁寧にシミュレーションしておく必要があります。
1章で紹介したように、3階建ての家は、階段が多いため、家事動線や生活動線が長く複雑になりがちだからです。
家事のたびに階段の上り下りが必要になってしまうと、不便で住み心地が悪いものです。
例えば、洗濯機が1階なのに干す場所が3階にあったら、毎日の家事が相当の負担になってしまいます。
こうした不便を少しでも解消するために、以下の順番で間取りを決めていくと良いでしょう。
①家族1人1人がどのような動きをするのか想像して、家事動線、生活動線を把握する
②動線を考慮しながら、間取りを複数パターン考える(洗濯機が1階にある場合と2階にある場合など)
③間取り図に動線を書き込みながら、どの間取りが最も住みやすいか比較検討する
頭の中でなんとなく動線を考えるだけでなく、実際に間取り図の上に動線を書き込んでしまえば、家族の動きが目に見えて想像しやすくなると思います。
動線がスムーズで住みやすい家を作るためにも、ぜひ試してみてください。
2-2 未来の暮らしも考慮して設計する
今のことだけでなく、未来の暮らしまで見据えた設計を考えましょう。生活や家族構成の変化によって、家の使い勝手が大きく変わってしまう可能性があるからです。
例えば、階段の多い3階建て住宅には、老後の不安がつきものです。
老後も同じ家に住み続ける予定でしょうか?それとも、老後はマンションや郊外の2階建てなどに引っ越そうとお考えでしょうか?
老後も住み続けたいのであれば、1章で紹介したような老後対策を最初から組み込んでおくと良いでしょう。
老後は引っ越したいと考えているのであれば、家は売却や賃貸に出すことになります。
将来的に購入ニーズが高そうな便利な立地を選んだり、できるだけ一般的な間取りにするなど、未来の家主に住みたいと思ってもらえるような資産価値を今から意識しておくと間違いありません。
その他、子供があと1人欲しいとか、両親を呼び寄せて二世帯住宅にしたいといった希望をお持ちの方もいると思います。
「こうなりたい」「こうしたい」という希望があるなら、その希望が実現した場合の生活もシミュレーションしてから家を設計することをおすすめします。
▼こちらの記事にも詳しく書かれていますので是非ご覧ください▼
関連記事2-3 メンテナンスを念頭に置いて敷地にゆとりを持たせる
外壁や屋根などをメンテナンスできるように、作業に必要なスペースを敷地内に確保しておきましょう。家を購入したら、定期的に外壁や屋根などをメンテナンスする必要があるからです。
家のメンテナンスを行う場合、足場を組み、作業のために動き回り、道具を広げるだけのスペースが家の周囲に必要になります。
隣の家との間に十分なスペースがなければ、作業が難しくなってしまいます。
3階建て住宅を建てる敷地は狭いことが多いですし、できるだけ敷地いっぱいに家を建てたくなる気持ちも理解できますが、メンテナンスが行えないと、家の住み心地が悪くなってしまいます。
安心して長く住むことを考えると、メンテナンスを念頭に置いたスペースはとても大切です。そこまで考慮したうえで家を建てるようにしましょう。
2-4 家具・家電の買い替えに備えて階段などにゆとりを持たせる
3階建て住宅では、室内のゆとりにも注意が必要です。階段の幅などに一定のゆとりがないと、大きな家具や家電を購入した際に、搬入できない恐れがあるからです。
狭い土地に3階建て住宅を建てる場合、階段も狭くなります。階段の途中で90度の曲がり角があったり、らせん形になっている場合もあります。
3階建て住宅の場合は、リビングが2階にあることも多いですが、大きなソファや冷蔵庫などを玄関から階段経由で運ぶとき、階段の幅が狭かったり曲がっていたりすると、大きな家具や家電は通れない恐れがあるのです。
そうなると、吊り上げて窓からクレーンなどで搬入するしかなくなり、余計なコストがかかってしまいます。
また、大きな窓がない場合や、クレーンなど吊り上げる道具が使えない場合は、搬入すらできなくなってしまいます。
組み立て式の家具で対処しているご家庭もありますが、インテリアにこだわりのあるご家庭や、家族の人数が多くて大きな家電を使用するご家庭は、家を設計する時点で搬入ルートも考慮しておくと良いでしょう。
3.3階建て住宅はこんな人におすすめ
3階建て住宅をおすすめできるのは、以下の3つの条件に該当するような方です。
3階建て住宅には、階段が多いなど、2階建て住宅とは違った特徴があります。その特徴を踏まえると、3階建て住宅が合う人と合わない人がいます。
2階建てやマンションのほうが住みやすいという人もいます。本章を読むと、あなたが3階建て住宅と相性が良いのかどうか自己判断しやすくなるでしょう。
3階建て住宅を選ぶメリットがあるのかどうか、以下を読みながら改めて確認してみてください。
3-1 どうしても都市部に一戸建てが欲しい人
3階建て住宅は、限られた予算の中で、どうしても都市部に一戸建てが欲しい人に向いています。
3階建て住宅であれば、都市部の狭い土地であっても、ある程度の広さの家を建てられるからです。
1章で述べた通り、3階建て住宅なら、土地の価格が高くて敷地が狭い場所でも、縦に高く建てることで住戸面積を確保することができます。
また、利便性の高い商業地などに多く建てられます。3階建て住宅なら、便利な都会に一戸建てを建てて、一家で暮らすことができるのです。
一戸建てが欲しい人の中でも、通勤時間を短くすることの優先順位が高い人や、利便性の高さを最優先にしたい人などに、3階建て住宅はおすすめです。
3-2 3階建て住宅を「終の棲家」とせず、将来的な住み替えを予定している人
3階建て住宅は、「終の棲家」として考えておらず、将来的に住み替えを予定している人にもおすすめできます。間取りを考えるうえで老後への配慮をしなくて済むからです。
3階建て住宅の場合、高齢になるとどうしても階段の多さがネックになります。若いうちは階段が多くても問題なく暮らせるでしょうが、年齢を重ねるとそうもいきません。足腰はどうしても弱ってくるものですし、けがをするリスクも生じます。
老後は売却や賃貸に出して、別の場所で暮らそうと計画している方であれば、老後への配慮を心配する必要はなくなります。若いうちだけの住まいだと割り切れる人にも、3階建て住宅をおすすめできます。
3-3 1軒の家に複数の機能を持たせたい人
1階部分をお店や事務所として使用したい人など、1軒の家に複数の機能を持たせたい人にも、3階建て住宅は向いています。
3階建て住宅は、フロアごとに部屋が分断される分、各フロアの独立性を保ちやすいからです。
例えば、個人で開業している人が1階部分を事務所にすると、仕事場とプライベートを分けることができます。
1階部分は事務所として賃貸に出して収入を得ながら、自分たちは2階以上に住むということも可能です。
また、二世帯住宅として使うのもおすすめです。
1階は両親のスペース、2階は共用のリビング、3階は自分たちと子供たちのスペース、といった間取りにすると、各世帯の独立を適度に保ちながら一緒に暮らすことが可能です。
各フロアが独立しているからこそ、1軒の家の中でフロアごとに役割を分けた暮らしが可能になるのです。このような暮らしを求めている方に、3階建て住宅はおすすめです。
まとめ
3階建て住宅の住み心地について、多くの人から挙がる5つの質問に回答しました。
また、将来にわたって住み心地の良い3階建て住宅を建てるために、気をつけておきたいポイントを4つ紹介しました。
3階建て住宅の特徴として、階段が多いこと、フロアごとに部屋が細かく分断されること、利便性の高い立地に建てられることなどが挙げられますが、これらを踏まえると、3階建て住宅に向いているのは、
・都市部に一戸建てが欲しい人
・将来的な住み替えを予定している人
・1軒の家に複数の機能を持たせたい人
となります。
3階建て住宅を選択すべきかどうか、あなたの判断の一助になれば幸いです。
▼次にぜひお読みいただきたい記事です!▼
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