
「3階建ての家でも老後に不安なく住めるの?」
「3階建て住宅って、階段が多くて大変じゃない?」
あなたは今、そんなふうに思っていませんか?
家を建てるなら3階建て住宅を選択することになりそうだけど、老後が心配。
気に入った土地に住みやすい3階建て住宅を建てられて、老後まで末長く安心して住めるのであれば、それが理想的ですね。
3階建て住宅は、設計の際に将来のことを十分考慮して建てられた家であれば、老後も安心して住むことができます。
例えば、寝室とトイレが違う階にある場合、夜間トイレに行く際に階段で転倒する危険が高まりますが、トイレを寝室と同じ階にしておけば、そのリスクをなくすことができます。
さらに、3階建て住宅の住み心地に快適さを増すために、家を建てる際に配慮しておきたいポイントがいくつか存在します。
この記事では、老後も安心して3階建て住宅に住むための設計のことから、より快適に暮らすためのポイント、実際に購入する場合の業者・依頼先までをアドバイスしていきます。
「老後も住める3階建て住宅」について理解が深まり、後悔しない最高の3階建て住宅てを手に入れるために、この記事がお役に立てれば幸いです。
計画する際は敷地条件に注意が必要です。
目次
1.「老後も住める3階建て」は 間取りが最重要
老後も住める3階建て住宅にするためには、歳をとっても難なく暮らせる間取りであることが大切です。
歳をとると足腰が弱って室内の移動が大変になる可能性があり、それを見越した間取りにしておく必要があるからです。
3階建て住宅の計画の肝となる部分をチェックして、老後も安心して住むことができるような設計にしましょう。
1-1 【寝室】【水回り】【収納】【階段】が鍵
間取りの中で特に注意して計画する必要があるのが、毎日使用する【水回り】と【寝室】、そして【収納】と【階段】です。
これらの諸室が生活動線に合わせて上手に配置されているかどうかで、日常の住戸内移動に大きな差が生まれます。
動線が上手く整理されていないと、例えば、寝室が1階でトイレが2階の場合、夜間のトイレにも階段の上り下りが必要になってきます。
また、洗濯機が2階にあるが物干し用ベランダが3階だとしたら、重たい洗濯物を持って階段を昇降しなければなりません。
干したあと衣類の収納場所が1階や2階なら、また昇降ということになってしまいます。
そうなると、足腰が衰えてくる老後の身体には大変です。
ここでは老後の生活動線を視野に入れた間取りをご紹介します。具体的な間取りのポイントを以下にまとめます。
各間取りのポイント
【寝室】
・【寝室】と【トイレ】は同フロアにする(夜間にトイレに行く場合階段を使う必要がないようにする)
【水回り】
・洗濯機置き場と物干しスペースは同フロアにする(洗濯物を持っての階段移動を避ける)
【収納】
・玄関付近に、食品庫を設ける(買い物してきた重たいストック品をしまう場所をつくる)
(キッチンには必要な分だけその都度運び、重たい荷物を全部持って移動しないですむ)
・物干しスペースと同フロアに、共用の収納をつくる(畳んだ洗濯物を一旦保管でき、家族が自分のぶんを各部屋に運ぶようにする)
【階段】
・一段の高さ(け上げ)をできるだけ低く、急勾配を避ける(転倒、落下のリスクを低くする)
・階段幅はできるだけ広めにとる(荷物を持っての昇降を楽にし、また家具や家電の搬入に配慮する)
・階段の途中に一時休止できる小スペースを設ける(スペースの許す限り、踊り場で休憩できるようにする)
<以上の注意点を取り入れた場合の間取り例>
1階:玄関+物入(食品庫)+洋室+トイレ+α(車庫など)
2階:リビング・キッチン+浴室+洗濯機置き場+収納(家族共用)+ベランダ
3階:寝室+トイレ+α(収納・バルコニーなど)
出典:新築間取り.com
https://新築間取り.com/ビルトインガレージの3階建ての間取り.html
1-2 のちのち住み方を変えられる間取りとしておく
老後は生活の拠点が1階となる可能性も考えて、後々リフォームがどこまで実現可能が事前に確認しておきましょう。
なぜなら3階建ての場合は、新築時に建物の構造強度を計算した構造計算書で耐力を規定しており、後になって壁を取りはらったり、レイアウト変更を行うような大掛かりなリフォームが建物の構造上できない可能性が高いからです。
例えば、老後に階段の上り下りが大変になり1階で寝起きすることになる場合、寝室となりのクローゼットの一部を水廻りなどに変更しようと壁の位置を変える必要が生じるかもしれません。
しかし、構造強度上それができない場合もあるのです。
このため設計者にあらかじめそのような変更を見越した計画とするように相談しておくようにしましょう。
2. 「老後まで快適に住む」には気密・断熱・空調が大事
3階建て住宅に老後まで快適に住むために、「高気密」「高断熱」性を備え、「全室空調」を取り入れた設計をしてもらいましょう。
これらは室温の変化を一定に保ち、通気性がある「快適な家」とするための欠かせないポイントだからです。
老後まで長い期間住むことを考えると、寒暖の差を抑えて室温を安定させておくことは身体への負担を減らすことにもつながります。
通気性の良さはカビなどの発生を防いで家の劣化を抑えることにもなります。
つまり、人も家も末長く良好な状態を維持することにつながるのです。
「気密性」「断熱性」「全室空調」がもたらす効果を理解して、実際の家づくりにぜひ取り入れてください。
2−1 3階建ての温度差に影響する「気密性」
気密性は各部屋の温度差に直結する大事な部分です。
具体的には、壁や屋根裏などに必要のない隙間が発生しないようにすることで気密性を高めます。
1階と3階では大きな温度差が発生する場合もあるといわれる3階建て住宅ですが、気密性を高めることで、上下空間の温度差をある程度軽減させることが可能となるので、設計時に大いにこだわりたいポイントです。
2−2 夏涼しく冬暖かい家にする「断熱性」
断熱性能は、屋外-屋内の間の熱の移動を小さくし、屋内の温度を安定させるためにも重要な性能です。
具体的には、夏は屋外の高温を遮断、冬は温まった室内の気温を外へ逃さない。といった効果です。
例えば、断熱性の高い家では暑さ寒さの振れ幅が小さいので、室温が安定し暖房や冷房がききやすく、室温の変化による身体への負担が小さいばかりか、冷暖房費用を抑える効果もあります。また、結露対策にもなります。
快適な住み心地を実現するために、断熱性を高める点もあらかじめ業者に相談しましょう。
2−3 湿気やカビを寄せ付けない「全室空調」
建物全体の空調(空気調和)を一括で管理する「全室空調」は、採用を検討したいシステムです。
全室空調を取り入れると屋内全体の温度調節はもちろん、換気装置との組み合わせによって全ての部屋の通気性がよくなり、ある部屋だけジメジメしてカビが生えてしまった!などいうことが減ります。
また、部屋間の温度差も抑さえるので、冬場のお風呂場と脱衣所で起きやすいヒートショックも起こりにくく、実際に3階建て住宅を建てた方々が「つけておいて良かった」と実感しているというデータ(図8)もあり要チェックです。
ただし一般家庭向け機器のメーカー、種類は限られ、ダクト工事なども必要となるため一般的なルームエアコンよりも金額的に値がはります。設計者を交えて部屋数に応じた計画をしましょう。
(「採用して良かった仕様・設備」全館空調システムは 62.7%)
出典:2016年「実現したい暮らしニーズ」調査備>/株式会社住環境研究所
https://www.sekisuiheim.com/info/press/20171129.pdf
3. バリアフリー&エレベーター設置で安心
老後に3階建て住宅で安全に暮らすために、バリアフリーに対応した設計を最初から取り入れることをおすすめします。
また、新築時に設置できなくとも将来的にホームエレベーターを設置できるとなお安心です。
なぜなら、バリアフリーに配慮した計画は転倒などによる怪我を防止すると同時に、必要箇所に手すり設置することで老若をとわず、移動をサポートしてくれる役割を果たしてくれるからです。
エレベーターは、高齢で階段が上れなくなった場合でも上下階への移動を可能にしてくれます。
ここでは、バリアフリーで取り入れたい要素と、エレベーター設置を考慮した設計についてご紹介します。
要点をチェックしてぜひ設計時に役立ててください。
3-1 【階段】【風呂】【トイレ】に手すりを付ける
毎日使用する階段や、風呂・トイレには、あらかじめ手すりを設置しておくのがおすすめです。
現在はまだ高齢でなくても、不意の怪我や病気のときなどに手すりがあると大変便利ですし、妊娠中のご家族や小さなお子さんがいる場合にも利用価値が高いからです。
当初はつけないという場合でも、手すりをつける前提で設計しておけば、トイレなどの狭い空間でも手すりの面積分も考慮したスペースをあらかじめ確保できます。
後にねじ止めするだけで設置できるよう設計時に相談しておきましょう。
3-2 快適さを追求するなら段差のない設計にする
老後により快適に、安全に暮らすためには、床に段差をなくしたバリアフリー仕様にしておくことは重要なポイントです。
なぜなら、若いときはまったく問題を感じない床面の段差も、高齢になると小さな段差でも転倒の危険につながるからです。
また、妊娠中のご家族や小さなお子さんの転倒防止にも役立ちます。
3階建て住宅を建てる際に、初めから段差のないフル・フラット設計にできれば理想的ですが、それがなんらかの理由で難しい場合も、将来変更をする前提で計画しておくべきです。
3-3 ホームエレベーター設置も視野に入れておく
3階建て住宅購入から20年後、30年後に老後を迎える場合、ホームエレベーターを将来設置できるよう考慮しておくと安心です。
なぜなら、老後は足腰が弱り階段の上り下りが困難になってエレベーターが必要になる可能性があるからです。
エレベーターの設置位置などを事前に想定して設計しておければ、実際に設置する際に費用を抑えることができます。
3階建て住宅にエレベーターを設置していない場合、実際に住んでみて「困ったこと」が「上下の移動」であるという回答が多く寄せられているデータ(図7)もあります。
また、上記(図8)のデータでは、「採用してよかった仕様」の上位にホームエレベーターの設置がランクインしています。
エレベーターを設置することで上下移動に関する不安が大きく解消されているといえるでしょう。
(「3階建てで困ったことあきらめたこと」)
出典:2016年「実現したい暮らしニーズ」調査備>/株式会社住環境研究所
https://www.sekisuiheim.com/info/press/20171129.pdf
4. 末長く付き合える依頼先を選ぶ
「老後も住める3階建て住宅」の購入には、末長く一生付き合える業者・依頼先を選ぶことが大切です。
なぜなら、住み始めたのちに長きにわたって修繕や水回りのメンテナンスなどが必ず発生します。そのたびに気軽に、親身に相談に応じてくれる業者の存在が必要になるからです。
価格やデザイン面など、どこを優先するかによって依頼先の選び方も変わってきますが、ここでは一般的に選ばれている3階建て住宅購入時の主な依頼先を4つ紹介します。
自分の優先するポイントは何か、それに見合った依頼先はどこになるのかをまずはチェックして、まずは問い合わせてみましょう。
・一般ハウスメーカー【工期優先・決められたパターンから選びたい方向け】
一般ハウスメーカーは生産設備を自社で所有し、建築資材などを規格化することで注文住宅の生産が比較的短い工期で可能なので、工期を優先する方や、あらかじめ決められたパターンから自分にあう家を選びたいという方におすすめです。
大量の仕入れによるコストダウンがある程度可能で、建物の品質にも一定の水準を保証しています。
・ローコスト住宅のハウスメーカー【価格優先の方向け】
ローコスト住宅のハウスメーカーは、価格優先の方におすすめです。
価格が抑えられるのは、宣伝広告費や人件費などの経費を必要最低限にしてコストダウンを実現しているからです。
ローコスト住宅だからといって安い木材や古い設備を使っているわけではないので、一般ハウスメーカーと比べて家を建てる仕組みに大幅な違いはありませんが、個々の材料、特に設備機器のスペック、グレードは当然低めのものとなります。
・工務店【間取りや仕様にこだわりたい方、リフォームを検討している方向け】
家を建てるのに必要な様々な分野の職人さんを集めて施工全体を管理し、建築を総合的に請け負っている工務店は、部屋の間取りや室内外の仕様にこだわりたい方におすすめします。
ひと口に工務店といっても、社内の建築士や社外の設計事務所と連携してデザインから行う工務店や、設計は行わず施工だけを行う工務店、ハウスメーカーの下請け工務店、自社で土地から購入して建売住宅を販売するデベロッパー系の工務店など、現在では様々なタイプの工務店が存在します。
・設計事務所【デザインや設計面でこだわりたい方向け】
建築士が個人もしくは複数名で組織する建築設計事務所は、家の外観から間取りの細部までデザイン面でこだわりがある方におすすめです。
設計事務所は建築主の生活スタイルや要望。希望を基に、依頼主の潜在的ニーズまで考慮して家づくりを計画してくれます。
現在では個人事務所から多数の設計士を抱える企業型の事務所までさまざまなタイプがあり、施工は工務店等に依頼するケースが一般的です。
まとめ
いかがでしたか?
3階建て住宅であっても【間取り】や【高気密・高断熱・全館空調】に気をつければ老後も不安なく住むことは可能になります。
また、【バリアフリー設計】や【エレベーターの設置】を視野に入れることでより快適な住宅にすることが可能です。
まずは、自分の優先事項は何かを確認してみて【末長く付き合える依頼先】を探すところから始めてみてください。
▼次にぜひお読みいただきたい記事です!▼
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