
「20坪の敷地に3階建ての家を建てることになったけれど、どのような間取りが使いやすいだろう?」
「狭くても、家族で快適に暮らせる間取りが知りたいけど、だれに聞けばいいのかな?」
敷地面積20坪の土地に3階建ての家を新たに建てることになったあなたは、こんな疑問をお持ちかもしれません。
敷地面積20坪という限られたスペースに3階建て住宅を建てる場合少し工夫が必要で、それは大きく4つあります。
限られた土地で快適に暮らすためには、すべてのスペースを有効に活用する工夫が必要です。
この4つの工夫をすることで、狭いと思った土地でも快適な間取りの家が実現できると思いますよ。
2.収納を工夫する
3.生活動線をまとめる
4.バルコニーの有効活用
本文では、まずこれらの工夫を生かしたおススメの3階建て住宅間取り例をご紹介し、併せて4つの工夫の詳細についてお伝えしていきます。
これを読めば、自分に合った間取りが漠然とでもイメージできるようになるのではと思います。
また、家を建てる際の依頼先についてもご紹介しますので、自分にあった依頼先選びについて確認いただけます。
これから家を建てる皆さんの、理想にぴったりの間取りをみつける参考にしていただければ幸いです。
目次
1.参考にしたい間取り3選
敷地面積20坪の土地に3階建て住宅を建てる際、必要なポイントは、4つ。
・空間を広く見せる
・収納を工夫する
・生活動線をまとめる
・バルコニーの有効活用
です。
この4つを意識して建てることで、敷地面積20坪でも、閉鎖感のない空間を有効活用した家づくりが実現できると思います。
ここでは実際に、工夫すべき4つのポイントを取り入れた間取り例をご紹介します。
ぜひ家の間取りを決める時の参考にしてみてください。
1-1 スケルトン階段で光を確保し、ルーフバルコニーで趣味を楽しむ暮らし
この住宅は1階が玄関と親世帯スペース、2階がLDKとサニタリー、3階は子世帯の空間という二世帯住宅(三世代住宅)です。
スケルトン階段でルーフバルコニーからの採光を取り入れ、圧迫感のない、1階まで光が届く工夫がされている3階建ての家の間取りです。
また庭の代わりに、ルーフバルコニーで趣味の菜園を楽しめる家を実現。
空間を広く見せる工夫と、バルコニーの有効活用がうまく取り入れられている間取りになっています。
概要 敷地面積:61.57平米(18.6坪) 建築面積:34.88平米(10.6坪) 延床面積:104.65平米(31.7坪) 出典:株式会社ティーアンドダブリュー |
【R階】
①ルーフバルコニー
趣味の家庭菜園を楽しめるように設置。住宅密集地にあって開放感を味わえる空間になっています。エアコンの室外機置き場としても活用できるのも便利です。
【3階】
②子世帯のWIC(ウォークインクローゼット)
広めのウォークインクローゼットは通り抜け可能で、開放的な仕様。
③将来の子供室
斜線規制によって天井を低く抑えていますが、トップライトで明るい印象に。
【2階】
④子世帯のリビングダイニング
仕切ることで、リビングとダイニングに分けて使用することも可能。ガレージの屋根も兼ねたデッキが、リビングバルコニーを実現させました。
⑤子世帯のキッチン
キッチンは1階、2階に分けて設置。互いに気兼ねなく使えます。
⑥共用の浴室
親世帯が階段から直接利用できる場所に設置。
⑦共用階段・廊下
屋上までの窓を設置したスケルトン※の階段により、室内や階下に光を採り入れることが可能となりました。共用の階段・廊下部分は、扉とガラスの間仕切りを使用し、音への配慮も万全です。
※スケルトン…「骨組み」「構造体」の意。ここでは踏み板とそれを支える部材以外を省いた開放的な階段のことを示しています。
【1階】
⑧シューズクローク
共用のシューズクロークは、ベビーカーやゴルフの道具なども収納できる広さを確保しました。
⑨親世帯のキッチン
子世帯とは別にし、食事を作ることができる仕様。将来介護が必要になった場合には、浴室に改築できるようになっています。
⑩駐車・駐輪スペース
2階のデッキが屋根代わりとなり、雨にぬれずに安心です。
⑪母親の部屋
出入りのしやすい1階に設置、デッキのある庭付きの部屋です。ドアを二重にし、玄関ドアの開閉音を軽減しました。
建築物の外壁またはこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積。建坪ともいう。通常1階の床面積となる場合が多い。ひさし、はね出し縁などが1m以上突出したときは、この端から1m後退したところまでが加算され、地盤面上1mを超えない地階は除かれる。
(建築基準法施行令第2条第1項2号)
◆床面積(ゆかめんせき)
建物の床の面積、建築物の各階またはその一部で壁その他区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積(建築基準法施行令第2条第1項3号)
◆延床面積(のべゆかめんせき)
建築物の各階の床面積を合計したもの(建築基準法施行令第2条第1項4号)
◆敷地面積(しきちめんせき)
「敷地面積」と「土地面積」は同じものを指します。
市街地の日照・採光・通風等の悪化を防止するために建築物各部分の高さを制限する規定で、法律により定められたもの(建築基準法第56条)。道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限の三種がある。
1-2 家事動線を集約。収納スペースの工夫で快適な暮らしを実現
注文住宅として敷地面積21坪の土地に建てられた3階建ての家です。
家事動線のうち洗濯動線を3階に集約し、洗濯から干すまでの時間を短縮できる仕様になっています。
また、寝室がある1階には、広めのシューズクロークやWIC(ウォークインクローゼット)を設置。
2階には食品などを貯蔵できるパントリーと大型の食器棚をおき、キッチンまわりがすっきりと整理できる収納を確保しています。
家事動線をまとめ、収納に工夫を凝らした、おススメの間取り例です。
概要 敷地面積:70.16平米(21.2坪) 延床面積:104.93平米(31.7坪) 出典:不動産・住宅サイト SUUMO(スーモ) |
【3階】
①洗濯置き場
洗濯機を3階に設置することで洗濯物干し場であるベランダまで楽に移動でき、また洗面台も洗濯機のとなりに設置されているのでちょっとした手洗いなどもここで済ますことが可能。機能的な作りに。
②納戸
大きな窓が設置され、光差し込む開放感ある空間に。日ごろ使わない季節ものは、十分に収納できる広さです。
【2階】
③パントリーと食器棚
パントリーは瓶類や水、食料品等を備蓄できるスペース場所として便利。整理しておくと何があるか一目瞭然になります。
また、大型の食器棚でキッチン収納は万全。食器類だけでなく、調理器具などもすっきりと片付きます。
【1階】
④シューズクローク
シューズクロークは寝室からも入れる仕様で、玄関への通路としても使用可能。コーディネートにちょっと靴を合わせたいときなどにも便利。
⑤WIC(ウォークインクローゼット)
寝室には広いWICを設置し、必要な家具を最低限にすることで、寝室の広さも同時に確保することができます。
1-3 一帖半のスペースがあれば、あこがれの書斎も手に入る
デザイン住宅的な間取りで、各階に一部屋しか設けていないため、それぞれの部屋が広く、閉鎖感のない、開放的な作り。
2階をリビングルームにし、1階は寝室、3階は子供の遊び場として使用しています。
また、1階に設けられた1.5帖のサービスコーナーは、階段下のスペースをうまく利用し、本棚なども設置して、書斎として使用。書斎を持ちたいと思っていた方は、参考にしたいアイディアです。
概要 敷地面積:66.46平米(20.1坪) 延床面積:77.12平米(23.3坪) 出典:不動産・住宅サイト SUUMO(スーモ)(現在掲載終了) |
【3階】
①子供部屋
勾配天井になっている3階は子供部屋として利用。屋根裏のような空間は遊び心のある雰囲気に。
【2階】
②キッチン
大型の食器棚と、広いキッチンスペースは調理器具もすっきり収納できて便利。トップライトから光こぼれる明るい空間。
③トップライト
光を届けるトップライトを設置。明るくおしゃれなリビングに。
【1階】
④書斎
1.5帖のサービスコーナーは書斎にし、静かに集中したいときなどにぴったりな空間を実現しています。
⑤玄関
広めの玄関は帰ってきたときに荷物を置いたり、ちょっとしたものを置くのに便利なスペースを確保しています。
2.敷地20坪の3階建て住宅が住みやすくなる工夫は4つ
敷地面積20坪の限られた土地に3階建て住宅を建てる場合、快適な暮らしを実現させるためには工夫がかかせません。
1章でご紹介したどの家も、限られた土地の中であらゆるスペースを最大限に活用することで、使い勝手の良い住みやすい家を実現しています。
工夫のポイントは大きく4つ。ここからはそれぞれの工夫について詳しく説明していきます。
具体的にどのようなことに注意して間取りを決めるといいのか確認していきましょう。
2-1 空間を広く見せる工夫をする
20坪の土地に家を建てる場合、少しでも室内を広く見せる間取りにすることで生活しやすい空間となるでしょう。
例えば、スケルトン階段やガラスの建具などは、視界を遮らないことで圧迫感がなくなり、開放的な空間をつくる工夫です。
①スケルトン階段をリビングの一部として取り入れる
階段を開放的にすることで、リビング内に階段があるように見せて広い空間を実現できる例です。
階段の壁を取り除くだけで開放的なリビングになりますし、あわせて階段室に窓を設置すれば階下まで光を届けることもでき、とても機能的なつくりになります。
写真引用:株式会社 MUJI HOUSE
②ガラス建具で仕切る
ガラスの建具を使用することで間仕切り壁による閉鎖感が消え、狭い空間も広くみせることが可能です。
視界が遮られず、開放感があるつくりを実現しています。
2-2 収納を工夫する
収納については、延床面積の10%程度を収納量の目安にするとよいといわれますが、工夫することで収納スペースも確保しつつ部屋の広さもとれるような間取りが実現します。
収納は大きな収納スペースと小さな収納スペースに分けられます。
どちらの収納も工夫することで、片付けがしやすくなったり物の出し入れがしやすいなど、住みやすい間取りとすることが可能です。
①毎日頻繁に使うものの収納
家を建てる際には、棚や引き出しの場所に配慮します。
普段の生活の中で使っているものを優先的に考え、毎日の生活に必要なものは各部屋の取り出しやすい場所に配置します。
また、しまうものの量や大きさによって奥行きや形状を考えましょう。
奥行きがありすぎると一番奥のものは出すのが億劫になって使わなくなったり、出しても片付けが面倒になってしまい部屋に出しっぱなしになるなど、日ごろから使うものの収納は部屋をきれいに保つためにも重要です。
写真引用:designboom
②季節物などの時期によって使用するものの収納
毎日使うものとは逆に、年に数回しか使わないもの(例えばスキースノボ用具や節句の飾り等)は少し大きめの収納場所を要します。
納戸での収納が一般的ですが部屋として確保するのが難しい場合、「小屋裏収納」として最上階の天井と屋根の間の空間を収納として使う方法があります。
ただし小屋裏を収納として使う場合は建築基準法上の条件がありますので設計時に注意が必要です。
写真引用:アイフルホーム
2-3 生活動線をまとめる
生活動線をまとめる工夫は永く快適に暮らすためにとても重要です。
特に家事動線をまとめることで、家事が劇的に楽になる場合があります。
例えばバルコニーのある3階に洗濯機を設置すれば日々の洗濯作業が楽になります。
また1階に駐車スペースとキッチンを設ければ、買ってきたものをすぐにキッチンへ運べあちこち移動する手間が省けるなどその便利さが実感できるでしょう。
設計時に、個々のライフスタイルにあわせ、生活動線を十分に考慮した間取りを検討することが大切です。
写真引用:旭化成ホームズ株式会社
2-4 バルコニーの有効活用
住宅を建てる際に多くの住宅はバルコニーを設けると思いますが、最近では洗濯物干し場としてだけでなく、リビングスペースとして活用したりガーデニングを楽しんだり、家族でくつろぐ庭の代わりとして活用することが人気なようです。
バルコニーの活用方法は主に以下のとおりです。快適な家づくりの参考にしてみてください。
①バルコニーをリビングスペースとして使用する
リビングにつながる広めのバルコニーをとり、リビングの延長としてバルコニーを使用する方法です。
室内との段差をなくすと室内とバルコニーが一体的になり、より広い空間を感じられます。椅子やテーブルなどを置いて寛ぎの場にするのもよいでしょう。
写真引用:株式会社あすなろ建築工房
②ルーフバルコニーの活用
ルーフバルコニーは広さが確保でき、庭代わりにルーフバルコニーでのバーベキューや、子供の遊び場として利用するのも人気です。広さがある分様々な用途に活用できます。
ルーフバルコニーを有効活用する際、日影(ひかげ)を確保するとよいでしょう。
日影がないと長時間いるには暑すぎたり、あまり活用しなくなってしまうことになりかねません。
最近では、オーニングやシェードなどの日除けがありますので、最初から設置しておくとよいかもしれません。
写真引用:スペースガーデニング株式会社
以下の記事▼にもアイディアを紹介しています。ぜひご覧ください。
関連記事3.希望の家を建てるために自分に合った依頼先を選ぶ
3階建ての家を建てると決めたら、次は依頼先選びです。主な依頼先は以下の3つに分けられるでしょう。
1. ハウスメーカー
2. 工務店
3. 設計事務所
過去の施工例等を確認しながら、自分の好みの家を建ててくれそうな依頼先を選ぶのがはじめの一歩です。
それぞれの特徴をみていきましょう。
3-1 ハウスメーカー
安心感重視で、面倒なことはなるべく避けて家を建てたい方には大手ハウスメーカーがおすすめです。
高品質の住宅を規格化することでコストを抑え、大量供給することを目的としているのが大手ハウスメーカーです。
そのため多くの人がある程度満足できるような家をつくることができ、規格内におさめれば比較的短い後期で家を建てることが可能です。
大手ハウスメーカーの場合、社会的責任の大きさから欠陥住宅や手抜き工事などの例は少ないといえる点も安心感があると言えます。
ただし、細部にこだわりたい場合には規格から外れたオプション扱いとなりコストがかさんだり、個人の好みには合わせにくい点があることには注意が必要です。
3-2 工務店
格外の狭小土地に家を建てたい場合や、設計はにこだわりたいけれどコストはおさえたい、という方には工務店がおすすめです。
工務店には様々な形態があってすべてを一括りにはできませんが、基本的にはコストの面で大手ハウスメーカーに比べ安く家を建てられることが多いです。
法令・予算以外の制約は少ないため、自由度も高く自分らしい家づくりができるという長所がある反面、保守的な工務店もあったりして、使い慣れたものや効率重視で進めたがる場合もあるようですのでその工務店との相性が大切になってきます。
工務店の選び方については▼ここでも詳しく書いていますのでぜひご覧ください
関連記事3-3 設計事務所(建築家)
自由度がさらに高く、建築家とともにこだわりのある家を建てたい方には設計事務所がおすすめです。
時間とコストはかかりますが、その分妥協のない細部までこだわった家を建てられるはずです。
設計事務所は建築設計業務を専業としているだけに、依頼者のライフスタイル、家族構成、将来の姿など様々な条件を考慮した上で空間をデザインします。
工事は工務店が施工しますがその施工上の細かな調整も設計事務所が行ってくれます。
計画期間が長くなる傾向があるため、住宅完成までのスケジュールについて十分打ち合わせて予算も含めよく話し合うことを前提に検討されることをおすすめします。
4.まとめ
約20坪の土地に建てた3階建て住宅の間取り例を3つご紹介しました。
失敗しない家づくりのためのポイントを、最後にもう一度おさらいをしておきます。
敷地面積20坪の家の間取りを決める際に大切な4つのポイント
1. 空間を広く見せる
2. 収納を工夫する
3. 生活動線をまとめる
4. バルコニーの有効活用
一生に一度のマイホーム購入、自分たちにあった最高の家にしたいといろいろ考えることはとてもワクワクすると同時に、不安もあるかと思います。
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