
念願のマイホームの新築に踏み切る決心をしたものの、
「この近辺に限っても工務店がいくつもあるし、色々とたくさんある工務店のどこに相談すれば良いのか迷ってしまう」
とお悩みになっている方も多いのではないでしょうか?
実は、そのお悩みには、工務店担当者の「人柄や相性」に着目することが解決への第一歩です。
今回は、「人柄や相性」に着目して行う「良い工務店の選び方」について取り上げました。
良い工務店を選ぶ際に取っておきたい行動を、
1.候補の探し方
2.面談時のチェックポイント
3.最終決断の際の注意点
という3つのステップに分かりやすく具体的に整理しました
ぜひこのステップを抑えて、良い工務店を選び出し、夢と希望の詰まった住宅新築を実現させてください。
最後までお読みいただけますと幸いです。
目次
1.工務店選びの決め手は、ずばり「人柄や相性」です
技術力やセンス、納得出来る価格かどうかなど、工務店選びをする上で気になる大事なことはたくさんあります。
しかし、何よりも重要で決め手となるのは、住まいのことを何でも話せて親身に相談に乗ってくれる相手かどうか、その人柄や相性ではないでしょうか。
なぜなら、住まいの新築は、相談を始めてから新しい住まいに住み始めるまでに少なくとも半年、場合によっては1年や2年という長い期間を要するものです。
さらに、工事が終わって住み始めた後も、維持管理のために工務店との付合いはずっと長く続きます。
その長い期間を通じて、何度も打合せを繰り返して貴方の夢や希望を理解してくれ、貴方のパートナーとして親身になって動いてくれることが必要となります。
日常生活やプライバシーも関わる住まいのことを詳しく相談する相手であり、そんなにも長きにわたって付き合う相手なのです。
話したいことが話しにくい、話すべきことなのに話したくないといった相手では、文字通り話になりません。
たとえ技術力が抜群で施工実績も十分の実力のある工務店であったとしても、貴方がどうも話しにくいと感じて十分に要望を伝えることができないのでは、せっかくの実力も的外れにしか発揮できません。
気持ち良く楽しく付き合え、何でも相談できる相性の良い相手であり、親身になって寄り添ってくる良い人柄の相手であることが、重要となるでしょう。
では、「人柄や相性」の良い工務店をどうやって見つけ出すのか。
その具体的な方法について、順を追って説明していきましょう。
2.「人柄や相性」が良く頼りになる工務店を見つけ出すための3つのステップ
簡単に書くと、
2.いざ面会。実際に会ってみて感触を確かめる
3.具体的な新築計画を検討する過程や計画内容から最終決断する
という3段階です。
ステップ1:まずは下調べ。ウェブ検索でアタリをつける6つのこと
よく分からない漠然とした状況で情報収集を行うには、ウェブ検索が最も手軽で有効な方法のひとつでしょう。
検索の目的は、数多ある工務店の中から、実際に会って話をしてみる工務店を見つけ出すことです。
あくまで「会う相手を見つける」ことであって、「工事をお願いする工務店を決定する」ことではないというのが大事なポイント。
以下に示した6点を軸にして、数多ある工務店ウェブサイトの中から「気になる工務店」「興味を引く工務店」「何となく印象に残る工務店」を見つけ出してください。
「ここだ!」と確信を得られる工務店があれば幸いですが、何となくの印象だけでも結構です。
会ってみて感触が良くなければ別の相手と会えば良いだけ。仮に期待はずれであれば、再びネット検索での下調べに戻れば良いだけですから。
「会ってみる工務店」を探す方法として、ネット検索の他には以下のようなものが考えられます。 ・知人に紹介してもらう ・不動産屋や銀行に聞く |
①必須事項は、新築計画地が営業エリアに入っていること
まずは「工務店+(計画地の地名)」といったキーワードで検索して工務店のリストアップをしてみます。
計画地の地名を検索ワードとする理由は、計画地が工務店の営業エリアに入っていることが重要だからです。
計画地が工務店から遠く離れていて、実際に工事を行う職人たちが工事現場に毎日通うことができないのではまったくリアリティがありません。
②計画地のより近くで営業している工務店であるに越したことはない
工務店の営業本拠地から遠く離れた場所での工事は、現場まで通うための時間や交通費の点で負担が増します。結果として経費が嵩み、工事費の面で割高となる可能性が増します。
なるべく工事費を安く抑えたい貴方にとって、また経費を抑えて利益率を上げたい工務店にとって、「現場が近い」というのは双方にメリットのあることです。
加えて、「現場が近い=新居から工務店が近い」ということですから、竣工後の維持管理において気軽に工務店に相談することができるというメリットもあります。
なお、「現場が近い」というのを具体的な距離で示すのは難しいのですが、工事現場へ通う職人は原則的に自動車を利用しますから、車で1時間から1時間半程度までで通えるというのを目安にすると良いでしょう。
複数の工務店で迷った際に、より現場に近い方を選ぶというのは、有効な選択基準のひとつです。
③会社規模の大小に惑わされず、「戸建て住宅」を得意としていることを確認する
会社概要を記したページなどから、どの程度の会社規模の工務店なのかが読み取れることがあります。
常識的な感覚として、大きな会社規模の工務店は企業として安定しているように思え、零細工務店に比べて安心感を感じるものです。
しかし、大規模工務店だから安心、小規模だから不安と規模の大小だけで決めつけるのは得策ではありません。
会社規模はあくまで参考程度の情報に留め、得意としている工事規模や工事内容が「戸建て住宅」であるかどうかを読み取って総合的に判断してください。
なぜなら、多種多様な建築工事全体の中では、公共建築物や高層ビルなどに比べて戸建て住宅はごく小規模な建築工事と言えるものなのです。
大規模な工務店は、その大きな組織を維持するための諸経費も必然的に大きくなりますから、工事費用に占める経費率を抑えるために「より大きな金額の工事」の受注を目指すこととなります。
結果として、集合住宅やオフィスビルなどより大規模な工事は得意だが、戸建て住宅の工事規模では利益確保が難しいため歓迎していない場合もあるのです。
対して、社員が数人から50人程度の中小規模な工務店であっても健全経営で信頼でき、戸建て住宅こそを得意として、しかも小回りが効いた手厚い工事をしてくれるところも少なくありません。
④共感できる点のある企業理念や基本姿勢
工務店のウェブサイトには住宅建築工事に臨む姿勢や考え方、大事にしていることなどが記載されていることが多いものです。
「住まいづくりに誇りと情熱を込めて」「丁寧で誠意ある仕事」「伝統的な熟練の技術を大切に」などといったものです。
具体的な事例や技術的な説明とは異なり「気持ち・心構え」の話なので「きれいごと」のように見えるかもしれませんが、その中に熱意や誠意の有無や相性の良し悪しを読み取るヒントが隠されていることがあるのも事実です。
「確たる判断」を下す必要のない下調べの段階ですから、なんとなく気になる言葉を見つけるだけでも大きな収穫という程度の軽い気持ちで読んでみてください。
例えば、「住宅工事への熱意を感じるのは良いけれど、むしろ熱心過ぎて疲れそうな感じだなぁ」といった感想を持つなら、相性イマイチの可能性がありそうです。
⑤施工実績や竣工事例、得意技術などの中から、好みに合うものを見つける
多くの工務店ウェブサイトの「メインディッシュ」とも言えるのが、施工実績や施工事例の紹介ページです。
加えて、「地元産の木材を多用する」「自然エネルギーの活用に積極的」「高気密・高断熱に徹する」「耐震性能を重視する」などといった素材や技術などに関する特徴や独自の工夫のアピールも多く見られます。
これらのページを眺めて、その工務店の技術やセンスなどを感じ取ってください。大事なのは、貴方の好みや考えと共感できる部分があるかどうかです。
⑥ウェブサイト全体の印象
工務店ウェブサイトを眺める目的は「会って話を聞いてみる工務店を見つける」ことですから、ウェブサイトの全体や部分から得られる印象を好ましく感じるといったことも無視するわけにはいきません。
場合によっては、施工技術などの素人には理解しにくい情報よりも、はるかにその工務店の「人となり」が伝わってくる場合があるものです。
いくつかの工務店サイトを見比べていると気付くと思いますが、画面全体が極めて美しいデザインで整えられウェブサイト制作のプロに依頼したと思われるサイトがある一方で、素人の手作りのような素朴な画面のサイトもあります。
美しく整った洒落たウェブサイトを見ると安心や期待を感じるでしょうが、そのサイト制作は無視できぬ経費の発生を伴います。
工事そのものよりも「見た目」に経費をかけて美しく整った印象を作ろうとしているのなら歓迎できませんが、工事はもちろん見た目にも意識や経費を払おうとする姿勢や余裕なら望ましい状況でしょう。
一方、社員自らのサイト制作作業は外部への経費出費は生じませんが、とはいえ社員の手間や時間を工事以外に費やしているということ。
ステップ2:いざ面会。実際に会ってみて感触を確かめる
ウェブ検索で気になる工務店を見つけたら、次は実際に会ってみて感触を確かめます。
繰り返しになりますが、実際に会ってみて手応えが期待はずれであればステップ1に戻って別の工務店にあたってみれば良いだけです。気楽に試す感じで十分です。
①最初の接触を試みるための2つの方法
1.直接連絡してみる |
工務店のウェブサイトに掲載されている情報から、電話やメールで連絡してみましょう。
「住宅の新築を検討しているのだが、お話を伺いたい」といった旨を告げれば、まずはお会いしましょうという展開になるはずです。
自宅を訪問してくれることが少なくはありませんが、最初は工務店まで出向くのが良いでしょう。どんな工務店なのかを実際に見て確認することが先決だからです。
2.工務店の催しに参加する |
見ず知らずの工務店に直接連絡してみることは、少なからず勇気の必要なことかも知れません。その場合は、相談会や見学会といったイベントに参加してみるという手段もあります。
すべての工務店が行っているわけではありませんが、自治体や企業が主催する住宅相談会といったイベントに協賛していることがあります。
複数の工務店が集って開催していることが多いので、目当の工務店だけでなく、他の工務店の感触を比較対象として知ることができて好都合です。
また、モデル住宅を所有し公開していたり、施工現場や竣工事例の見学会を開催していたりする工務店もあります。
気になる工務店が開催していれば参加してみましょう。貴方独りで直接連絡をとって面会するのに比べて、はるかに気楽に接触を試みることができる得策です。
この種の情報は、工務店のウェブサイトに掲載されているはずですし、「住宅相談会+(地名)」などのキーワードで検索すると見つかるはずです。
ただし、こうした催しを行っているのは比較的規模の大きな工務店が多いので、小規模の工務店と共にじっくりと付き合って密度の高い家づくりを希望している方には期待はずれかも知れません。
そういう方は、この種の催しは「参考情報・比較情報の入手」と割り切って、目当の工務店に直接の連絡をしてみることです。
②接触当初からできる相性判断のチェックポイント
直接の電話やメール、工務店訪問、あるいはモデル住宅や施工現場の見学会、住宅相談会、いずれの行動においても共通することですが、工務店と直接に接触することで住宅新築工事についての様々な情報が得られます。
もちろんそれらの情報は重要なものですが、「相性は良いか、人柄は信頼できるか」を判断することが特に大切なことだということを忘れないでください。
その意味では、工務店が説明してくれる建築技術の素晴らしさを理解することよりも、その説明姿勢がどうなのかを感じ取ることの方が重要です。
もとより、建築工事の技術的な内容を理解することは素人には荷が重いものです。対して、その説明が、素人にも分かりやすく伝えようとしているものなのか、単なる「ひけらかし」に過ぎないのかといったことは、何となくでも分かるものです。
もちろん、素人にも分かりやすく伝えようという姿勢が見える工務店の方が望ましいのは言うまでもありません。
同様に、実に些細なことのように思える様々なものから、その工務店の「相性や人柄」を推察しましょう。
以下にチェック項目をつくりました。このチェックが多ければ多いほど、あなたに合った工務店かもしれません。
□ 氏名や会社名をきちんと名乗るか
□ 言葉使いはきちんとしているか
ぞんざいではない丁寧な応対、礼儀正しく誠実な応対であるかどうかは大事なことです。
ただし、いわゆる「営業マンの接客マナー」に従ったものである必要はありません。というのも、小規模工務店であれば職人自らが接客対応していることも少なくはありません。
現場で黙々と作業することが本分の職人に、まるで営業マンのような滑らかな口ぶりを求めることの方が無理を感じます。大切なことはあなたに対する誠実さを感じるかということでしょう。
□ 玄関や受付、事務室:掃除は行き届いているか、佇まいは心地よいか
□ 受付の応対:言葉使いや態度が礼儀正しく丁寧か、取次の段取りが心地よくスムーズか
□ 便所:掃除は行き届いているか、トイレットペーパーが切れたりタオルが汚れたりしていないか
□ 駐車場や駐輪場:きちんと整列して停めてあるか
□ 資材置き場や作業場:掃除や整頓は行き届いているか
会社内の掃除や整頓と建築工事の良し悪しには直接の関係はないかもしれませんし、受付の方が礼儀正しく丁寧だからといって現場の職人さんが丁寧な仕事をするとは限りません。
しかし、「貴方が安心して頼れる気持ちになれるかどうか」が極めて大事なのです。
そもそも、貴方は住宅新築工事という不慣れな大事業に臨むにあたって不安を感じているはずで、その不安を払拭して安心させてくれるパートナーを探しているのです。
現場の工事とは直接の関係がないものごとであろうと、安心と信頼につながる要素、不安や懐疑につながる要素、いずれもないがしろにはできません。
加えて、単なる一般論に過ぎず例外もありますが、社員が礼儀正しく社内の整理整頓や掃除が行き届いている工務店というのは、工事現場や仕事そのものも同様であることが多いものです。
□ 話の口調が丁寧で礼儀正しいか
□ 質問に対して適切で明快な答えが返ってくるか
□ 話の内容が素人にも分りやすい用語使いや表現となっているか
◇社長の印象を確かめる
大規模な工務店であれば、社長は出てこないで営業担当のスタッフが応対するだけのこともありますが、小さな工務店であれば社長に会えることも珍しくないので、可能ならぜひ社長に会ってみましょう。
社長の意気込みや考え方は、工事現場の雰囲気や仕事ぶりに少なからず影響を及ぼすものです。貴方の望んでいる姿勢や考え方かどうかを確かめてください。
熱意と誠意を持った社長の元には、真面目でやる気のある職人が集っている可能性が高いと言えるでしょう。
戸建て住宅の工事を得意としているような中小規模の工務店では社長自らが職人の出身であることが多く、その場合はなおさらです。
社長の話の中から、熱意や誠意が感じられるかどうか確かめてください。
◇担当者との話し易さを確かめる
まだ言葉や考えのみで確定した形のない貴方の新居を、具体的に図面にまとめて工事を進めていく直接の責任者となる人が担当者です。
規模の小さい工務店では、社長自らが担当することも珍しくはありません。また、最初の面談では担当者が確定せず、もう少し先の具体的な相談を開始する段階で担当者が決まる場合もあります。
その担当者との会話がスムーズで的を射たものになることは、絶対の必須条件と言えます。
担当者と会って話を始める際には、これから取り組む新築工事に関する事項だけでなく、日常生活や趣味のことなど様々な会話を交わしてみて、親交を深められそうか否かを判断してください。
住宅建築についてはもちろん、趣味や生活全般で好みや価値観が近しい相手であれば、貴方の夢や要望の実現がより容易になるはずです。
◇素人に寄り添う姿勢のある工務店かどうか確かめる
社長や担当者の自己紹介だけでなく、工務店としての自己紹介も聞いてみましょう。
会社の業務経歴や施工事例の紹介、技術的な特徴や得意とすることの説明などが聞けるはずです。
それらの説明において、専門用語や技術用語が多くて理解し難いと感じるようなら要注意です。分かりくいと思った部分を遠慮なく質問してみてください。
素人にも分りやすい説明ができればもちろんのこと、なんとか理解してもらおうと努める姿勢が見えるのなら大丈夫でしょう。
こうした会話の中で、口調や態度から人柄や相性を推し量ります。
難しい判断のように思いがちですが、初めて会って話し始めたばかりのこの段階では、「楽な気分で会話を交わせる」「気持ちよく会話が弾む」といった感触が得られれば十分です。
社長や担当者など工務店と接触する際に、なるべく早い時期に確認すべきことのひとつとして「その工務店なりの業務(工事)の進め方」があります。 一般的な住宅工事では、初対面の面談から始まり、具体的な住宅計画の相談や検討を進め、工事契約を交わした後に工事着手、一定の工期を経て工事が竣工すると引渡し、そして引越しと進むものです。こうした進み方の中で、どの段階までは「無料相談」なのか、どの段階から有料になるのか、どの段階でどんな契約が必要なのかなど「業務の進め方」を確認してください。 概ねはどの工務店も同じような進め方をするものですが、多少の違いがあるのも事実です。費用が絡む話なので初対面の後のなるべく早い時期に確認すべきです。 特に、何らかの契約の必要が発生するタイミングとその契約内容は要注意で、中でも「工事契約」が必要となる時期についてはよく確認してください。 契約とは業務の内容、期間、対価(費用)を約束するものです。契約してしまうと途中で不安を感じても容易には中止し後戻りすることができません。逆にいうと、契約していなければ後戻りも可能ということ。あるいは、契約した業務が完了すれば、その時点で中止も可能ということ。工事契約でなければ工事には着手してないのですから、いまひとつ納得できず不安を感じていれば別の工務店を探すという道もあり得ます。 |
ステップ3:具体的な新築計画の内容を検討し確認した上で決断する
実際に面会して良い感触が得られれば、新築工事に関する具体的な相談を開始します。
担当者を相手に、計画敷地を示す資料を提示するとともに新築住宅で実現したい要望のあれこれを説明することから始めて、具体的な新築計画の検討を開始するわけです。
具体的な新築計画の検討を経て工事契約に至るまでの間で、「良い工務店の選び方」という視点で重要となるのは以下の3点です。
2.素直に忌憚なく意見交換できる関係を築ける工務店
3.工事見積書と見積図面の内容を納得いくまで確認する
なお、本記事は「工務店の選び方」にフォーカスしたものなので、如何にして希望に沿った住宅計画をまとめていくのかという「検討プロセスの進め方」についての説明は控えます。
①工事契約を急ぐ工務店には要注意
具体的な相談を開始して住宅計画を検討し始めたばかりで決まってないことがまだまだ多いはずなのに、「工事契約」を取り交わすことを求める工務店があります。
どのような内容の契約を求めているのかをじっくり慎重に確認してください。妥当な理由や説明のないまま、あまりに工事契約を急ぐようであれば、その工務店は要注意です。
なぜなら、工事契約とは工事内容、工事期間、工事費用を約束するものです。
工事内容とは、どのような住宅を作り上げるかということ。住宅計画の検討を始めたばかりの段階では不確かな部分が多く、作り上げるべき住宅の詳細は未だ確定し切ってはいません。
工事費用についても同様で、作るべき住宅の詳細が定まってこそ初めて見積ることができるもので、使用する素材や必要とする手間が確定しないうちは正確な工事金額を見通すことができません。
そんな不確かで曖昧な状態のままで工事契約を交わしてしまうのは、極めて大きなリスクを伴います。
そのリスクについて工務店は十分に理解しているはずですから、妥当な理由や説明もないまま工事契約を急ぐようであれば、明らかにしないままで貴方に大きなリスクを抱えさせようとしているということ。警戒するに十分な状況です。
例えば、住宅建設資金の融資を相談する場合に、その融資の可否を審査するために工事契約書の提出を金融機関から求められることがあります。
そうした状況での少なからずは、融資の可否が判明しないことには工事予算が確定せず、どんな住宅を作るかも決めることができないので、工事契約など交わすことができず、従って提出すべき工事契約書は存在し得ないというケースです。
このような場合は、工事契約書ではなく工事見積書で替えることはできないか金融機関と交渉するか、あるいは、「詳細は確定していないが概ねこんな感じ」という程度の条件で仮の工事契約を交わしてその工事契約書を提出するかしかありません。
仮の工事契約を結ぶ場合は、その工事契約があくまで「仮」のものであること、融資審査の結果によっては契約を解消することもあり得ること、その後に進む住宅計画の検討に応じて契約内容を見直すこと、その契約見直しの具体的方法など、曖昧な内容のままで工事契約を交わすことのリスクとその解消方法について工務店と十分に相談することが必須です。
また、「相談無料」や「設計料はいただきません」といった謳い文句を掲げる工務店は少なくありませんが、住宅計画の相談や検討にも人件費をはじめとした無視できぬ額の経費が発生するものです。そうした経費をどこで回収しようとしているのかを考えてください。
工事費の中から捻出しているのなら、計画検討の途中であっても既に出費している経費の回収を確かなものにしようと工事契約を急ぐでしょうし、そうした経費が工事費を圧迫するのを避けるために計画検討を簡単に済ませようとするかも知れません。
しかし、計画検討に要する経費は工事費とはまったく別の費用ですから、透明性が高く安心できる工事を望むなら、計画検討に要する費用についても透明性を求める必要があります。
②素直に忌憚なく意見交換できる関係を築ける工務店
具体的な計画検討を進めるにあたっては、貴方と担当者のお互いが、素直に忌憚なく自由に意見交換できる関係であると感じていることが必要です。
なぜなら、具体的な計画検討においては、担当者から単なる良い感触が得られるだけでなく、専門家らしい頼りになるアドバイスを十分に引き出せることが重要となりますが、これにはどんなことでも気兼ねなく話し合える信頼が必要となるからです。
例えば、技術的に不可能な要望、予算とは相容れない要望、そもそも矛盾している要望など、建築計画に素人である施主は「無理難題」な要望を提示してしまいがちです。
担当者との関係は、そんな無理難題であっても素直に話せてしまえるものでなくてはなりません。逆に言うと、そんな無理難題を素人の戯言と見下さず、真摯に聞き取ってくれる担当者でなくてはなりません。
また担当者からは、その要望が無理難題であることの分かりやすい説明とともに、どこを譲歩し我慢すれば実現できるのかといった解決策が提示されなくては、検討がより良い計画に向かって進みません。
時には要望とは多少食い違う提案もできるクライアントであると、担当者が思ってくれている必要があります。
言い換えると、貴方がそのような提案にも素直に耳を傾け検討する気分になれることも重要だということです。
また例えば、担当者から「居間の広さは何畳くらいがご希望ですか?」と質問されるのと、「居間では誰がどんな過ごし方をされますか?」と質問される場合を比べてみてください。
前者は数値を問う明解な質問ですが、その広さが望ましく理想的なものか否かの判断は貴方に委ねられています。
対して後者の質問は、ともすれば答え方に困る曖昧な質問ですが、どのような暮らし方を望んでいるのかを把握した上で用意すべき広さと設え(しつらえ)を担当者側でも判断しようという姿勢が現れています。
効率的で素早く単純に進めようとするなら前者のような質問に終始することも悪くはないのでしょうが、より深く親身になって望ましい住宅を実現しようとしてくれているのは後者のような質問です。
単純に貴方の要望に応えるだけでなく、貴方が気づいていない要望の真意を汲み取りながら新築計画をまとめ上げようとしていると言え、担当者にそれなりの知識と経験がないと難しいものです。
③工事見積書と見積図面の内容を納得いくまで確認する
「工務店選び」の最終決断である「工事契約の締結」は、工事内容と工事金額が詳細まで固まり納得のいくものとなってから行うものです。
工事内容と工事金額は、計画検討の最終段階で工務店が作成する工事見積図面と工事見積書に示されています。専門的な内容を多く含む書類ですから、ただ眺めるだけでは理解できないことも多いでしょうが、担当者に説明を求めてその内容を納得いくまで確認してください。
求めても説明を十分にしてくれない、曖昧な説明に終始する、結果として内容に納得できないという場合には、ここまでに費やした時間や労力が残念ですが工事契約には進まない方が良いでしょう。
また、少しでも希望に沿った住宅となるよう計画内容に修正を加えたいのなら、このタイミングが最後の機会となりますから、遠慮なく修正の相談を持ちかけてください。
工事が始まってからであっても多少の変更は不可能ではありませんが、工事費や工期の上で無駄が出るリスクが高まります。
計画内容の修正を希望すると、もちろん見積図面や見積書の修正も発生するはずです。どう修正されたかを説明をしてもらい、希望通りかどうかを確認してください。
このような修正希望に対して、スムーズに対応してくれない、見積図面や見積書の変更が行われない、説明が十分ではなく納得できない場合には、これまた残念ですが別の担当者に変わってもらうべきでしょうし、場合によっては他の工務店をあたってみることも視野に入れるべきです。
ここで我慢してしまわないように、よく確認し、よく考えてください。
3.まとめ
「良い工務店の選び方」について、「相性や人柄」が決め手となることを説明してきました。
これまでに示してきた内容を少しばかり言い換えて整理すると、
・経営が安定した安心できる企業、高い技術力や優れたセンスを持っているといった一般的に語られる工務店のチェック項目は、それ自体でも意味があるだけでなく、それらを満足していることで貴方が安心でき、その工務店を信頼する気持ちになれるという点に最大の意味がある。
・担当者をはじめとして工務店の方々が信頼でき、お互いに安心して何でも気さくに話せる関係になれてこそ、貴方が夢や要望を遠慮なく全て伝えることができ、より良い住宅を実現するための提案を受け止め共有できるようになる。
ということです。
ところで、ここまで書いてきたような「相性や人柄」を背景とした蜜実な人間関係で工務店と付き合うのが好みではないといい方もいるでしょう。
迅速軽快でよりビジネスライクにあっさりと工事を実現したいと思う方は、営業マニュアルやメニュー形式の型式住宅カタログなどが用意されているような大手工務店やハウスメーカーなどが候補として有力と考えられます。
また、「選び方」について書いてきているので、「選んだ工務店の確定=工事契約の締結」の段階で話は終了しています。しかし、工務店との付き合いは、その本業たる工事施工の段階でこそ本格化するというものです。
職人が手仕事で行う部分の多いのが建築工事です。プロの仕事としては望ましいと言い切れるものではないかも知れませんが、信頼関係の豊かな相手のためにする仕事は他に比べてモチベーションが高まり、その質も高く維持されるものです。
さらには、竣工引渡しを経て新居に住み始めたのちも、工務店との付き合いが終わるわけではありません。維持管理を通じて、実に長い付き合いとなるはずです。
計画検討から工事を経て培った信頼関係が、維持管理においても役立つことは言うまでもありません。
信頼し合え、気さくに付き合える工務店と出会うことができ、貴方の夢と希望の詰まった住宅が実現できることに、この記事が少しでも役立てば幸いです。
▼次にぜひお読みいただきたい記事です!▼
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