
一戸建て住宅の購入を考えたとき、維持費がいくらくらい掛かるのか気になる人は多いでしょう。
維持費がわかれば やりくりが計画的にでき、一戸建てでの生活のビジョンが描きやすくなりますね。
維持費は大きく3項目に分かれており、その内容を理解すれば『我が家ではいくらくらい維持費が掛かるのか?』 を、見積もることが可能です。
そこでこの記事では、一戸建て住宅の維持費を具体的なシミュレーションを交えて解説したいと思います。
また、「マンション維持費との違い」や「維持費節約のポイント」 もご紹介しますので是非参考にしてください。
一戸建てマイホームで永く幸せに暮らすために、維持費についてしっかり把握して将来の生活設計に役立てましょう。
目次
1.一戸建てに掛かる3つの維持費
一戸建てに掛かる維持費は、3つの項目に分けられます。
① 税 金 | 固定資産税。都市計画税(※税負担がない地域も一部有) |
② 保険費用 | 火災保険、地震保険など |
③ 修繕費用 | 補修や修繕。リフォームに充てる費用 |
この3つの中身や条件を知ることで維持費の値が想定できます。項目別にご説明しますので、内容を理解していきましょう。
1-1.税金
【固定資産税】
固定資産税は、土地及び家屋にかかる税金で、それぞれの評価額に基づいて算定されます。
評価額の基となるのは土地の形状や接する道路の状況によって定められる「路線価」といわれる価格で、各自治体のホームページなどで公開されています。
固定資産税の支払いは年4回の分割方式が一般的です。毎年1月1日の固定資産の所有者に対して、4〜6月頃に各市町村が納付書と共に通知します。
例/平成30年度納付期間と納付期限(東京都の場合)
納付期間 | 納付期限 | |
第1期 | 平成30年6月1日〜7月2日 | 7月2日 |
第2期 | 平成30年9月1日〜10月1日 | 10月1日 |
第3期 | 平成30年12月1日〜12月27日 | 12月27日 |
第4期 | 平成31年2月1日~2月28日 | 2月28日 |
【都市計画税】
市街化区域に属している地域では固定資産税と合わせて都市計画税が掛かります。都市計画事業や土地区画整備事業に充てられる税で、固定資産税と同じく評価額を基に算定されます。
市街化区域に属さない地域であれば都市計画税は掛かりません。課税されるかどうかについては、各市町村の総務部や課税課に確認してください。
なお、固定資産税については▼の記事にも詳しく解説しています。ぜひ御覧ください。
関連記事1-2.損害保険料
損害保険料は外せない維持費のひとつです。近頃は特に災害も多く、住まいに対する万一の備えは必須といえます。
損害保険料は、補償の範囲や各保険会社のプランによって異なります。
例/10年間に掛かる保険料
A社 | B社 | C社 | |
保険料(10年) | 104,320円 | 77,550円 | 139,650円 |
補償内容① | (補償される災害)火災、落雷、破裂、爆発 | ||
補償内容② | 風災、ひょう災、雪災 | ||
特約事項 | 盗難特約 | - | 地震特約 |
免責事項 | - | 補償②は被害額20万円未満免責 | - |
サイト掲載されている3社を比較してみただけで、かなり違いがあります。
地域、建物の構造によっても、つけられない特約があったり、免責条件も変わったりするので、加入の際はじっくり比較検討した方がいいでしょう。
1-3.修繕費用
修繕費用は、一戸建て購入時から維持費として貯めておく必要があります。
なぜなら、新築物件であったとしても10年もすれば修理が必要な箇所が出てきておかしくないからです。
修繕が必要になる“時期の目安”と“相場”について、図表にまとめると以下のようになります。
修繕時期の目安と相場(※100㎡の新築家屋の場合)
修繕箇所 | 修繕が必要になる築年数の目安 | 修繕費用(相場) |
外壁の塗装 | 10年〜20年 | 70〜100万円 |
屋根の塗装 | 15年〜20年 | 60〜90万円 |
シロアリ防除 | 7、8年 | 15〜20万円 |
水回り(バス、キッチン、トイレ)修繕(交換) | 10年〜15年 | 100〜150万円 |
フローリング張り替え | 10年〜20年 | 20〜30万円(8畳) |
参考URL:
戸建住宅のメンテナンス費用は意外と高い?外壁塗装やクロスの修繕費
HOME’S住宅のメンテナンスに適切な時期や修繕費用の目安は?
【不動産ジャパン】 一戸建て修繕費は平均556万円、修繕費を積み立てた経験がある人は1割弱
他にもバルコニーや屋上の防水工事、シャッターの修理、庭のメンテナンス費用などがあります。
壊れてからでは遅いので、修繕費用は毎月計画的に貯蓄しましょう。
2.一戸建ての維持費をシミュレーション
一戸建ての維持費は物件ごとに異なります。ただ、いくらくらい掛かるかは条件を設定することで、ある程度イメージすることができます。
ここでは、
「中古(築10年)リフォーム済み 木造2階建て」
「郊外 新築木造3階建て」
「都内人気区 新築木造2階建て」
の3パターンの条件を設定し、年間維持費のシミュレーションを行いました。
ご自身の条件に近いものをご覧になって、参考にしてください。
(※損害保険料は仮に前項1-2で示した例を当てはめています。)
年間維持費例1./中古(築10年)リフォーム済み 木造2階建て
建物面積120㎡ 物件価格4.000万円の物件
保険は、災害の少ない地域なので特約のつかないプランを選んだ。業者から10年後には建物内に点検修理が必要な箇所が出てくると聞き、その際100万円蓄えておけるよう、修繕費用として年10万円を貯金する事に決めた。
固定資産税+都市計画税 | 110,000円 |
損害保険料 | 7,755円(B社プラン・年あたり) |
修繕費 | 100,000円 |
合 計 | 217,755円 |
年間維持費例2./郊外 新築木造3階建て
建物面積150㎡ 物件価格5.000万円の物件
海が近く津波の被害が不安な地域なので、保証が手厚く特約も付いた保険を選んだ。後々老母のためにバリアフリー工事を手がける可能性も見越し、修繕費用として年間15万円を積み立てることにした。
固定資産税+都市計画税 | 150,000円 |
損害保険料 | 13,965円(C社プラン・年あたり) |
修繕費 | 150,000円 |
合 計 | 313,965円 |
年間維持費例3./都内人気区 新築木造2階建て
建物面積100㎡ 物件価格5.500万円の物件
以前の家で泥棒被害にあった経験があり、人的災害の多い都心でもあることから盗難特約のついた保険を選択した。修繕費用は月1万円と考えて年間12万円を積み立てる計画を立てた。。
固定資産税+都市計画税 | 180,000円 |
保険料 | 10,432円(A社プラン・年あたり) |
修繕費 | 120,000円 |
合 計 | 310,432円 |
※モデル設定のように、保険費用は選ぶ商品によって価格が変わりますし、修繕費用は所有者のプランで多くも少なくも見積もることができます。
3.一戸建てとどう違う? マンションに掛かる維持費
一戸建ての維持費はマンションに比べてどうなのかが、 気になる方もいらっしゃいますよね。
実は一戸建ての維持費はマンションより安い場合が多いのです。その理由は、マンションでは一戸建てにはない3項目の維持費が加わるからです。
この項では、一戸建てとマンションの維持費の違いについてお伝えします。
3-1.一戸建てにはないマンションの維持費
一戸建てにはなくて、マンションにだけ掛かる維持費は、以下の3つです。
【管理費】
管理費は、エントランスや廊下など共有部分の清掃やゴミ収集処理費など、設備維持や清掃に掛かる維持費です。
エレベーターの保守管理、各種共用設備の維持管理費や、管理会社(管理人)への業務委託報酬も含まれます。
一般的には充実した共有施設があればあるほど管理費は高くなります。
【修繕積立金】
一戸建てでは自分の裁量で貯める修繕費ですが、マンションでは毎月住戸ごとに定められた金額の積立支払いが義務づけられます。
修繕積立金は外壁の補修や修繕、屋上防水改修や配管交換工事など、マンション全体の大規模修繕工事への備えとして積み立てます。
金額はマンションのグレードによって様々ですが、耐震改修工事など修繕計画になかった工事を行う場合などは一時金として100万円単位の請求をされるケースもあります。
【駐車、駐輪費用】
敷地内に車庫がとれる一戸建てには掛からない駐車、駐輪場代もマンションでは発生します。
駐車場代は近隣の月極駐車場の相場と並ぶように設定されることもあるので、その場合、東京23区内では2万〜3万円ほど、高いと5万円にもおよぶこともあります。
3-2.維持費の違いを比較! 一戸建てVSマンション
一戸建てとマンションに掛かる維持費を表で比較してみると、違いがよくわかります。
一戸建て(耐用年数22年) | マンション(RC造) | |
固定資産税 | 築年数が経つと、家屋部分にかかる税は下がりやすい | 耐用年数が長いため家屋部分は一戸建てより評価額が高い |
都市計画税 | 負担のない地域も一部有り | |
火災保険加入 | 任意 | 必須 |
修繕費の準備 | 自分の裁量次第 | 毎月積み立て義務あり |
管理費 | なし | 毎月払う |
駐輪・駐車料金 | なし(車庫ある場合) | 毎月かかる |
4.一戸建ての維持費を抑える5つのポイント
一戸建ての維持費を節約するには修繕費用を抑える必要があります。
税金は評価額次第ですし保険は万一の備え、そうなると節約できるのは自分の裁量で決まる修繕費用になってくるのです。
この章では一戸建ての修繕費用を節約して維持費を抑えるポイントをご紹介します。
4-1.耐久性の高い素材を選ぶ
維持費を節約するためには、新築またはリフォーム時にできるだけ耐久性が高い素材を選ぶようにしましょう。
耐久性の高い素材と手の掛かる素材を選んだ場合では、メンテナンスの頻度に大きな違いが出ます。
外壁を例にとると、常に外気にさらされるため劣化が進みやすく、10年〜15年で大掛かりな修繕が必要となるケースが多いです。
しかし、メンテナンスフリーの素材を選べばあと5年〜10年ほど、修繕までの期間が延長できるでしょう。
外壁は面積が広く足場を組む必要もあるため修繕費用は高額になりがちなので、修繕頻度が少なくなることは維持費の大きな節約になります。屋根や建材に関しても同じことがいえます。
外観重視するあまり、ランニングコストが余分に掛かる素材を選んですまう失敗をしないように気をつけましょう。
4-2.アフターサービスを怠らない業者を選ぶ
アフターサービスを怠らない施工業者を選ぶこともポイントの1つです。家を建ててから建物に不具合が発生した際の点検修理費は、施工業者の選び方で差が出ます。
平成12年4月に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称:品確法)」により、新築住宅については住宅の売り手および請負人は買い手に対して10年間の瑕疵担保責任を負うことが義務づけられています。(対象は基礎、壁、柱、屋根(小屋組)土台などの構造耐力上主要となる部分や、雨水の浸入を未然に防止する部分。)
それに加え、業者によって独自の保証内容や期間を設けていたり、話し合いで設定できたりする場合があります。契約前にアフターサービスについて、業者としっかりと話し合って確認しましょう。
キッチンやトイレなどのメーカーにも、アフターサービスの詳しい説明を求め、きちんと答えて検討してくれる業者を選ぶようにしてください。
住んでからも施工会社との関係は続きます。アフターサービスまでしっかり考えてくれる、“怠らない会社” を選ぶ事で維持費のかかり方に違いが出ます。
4-3. メンテナンスを趣味にして楽しむ
修繕費用を抑えるためのポイントとして、メンテナンスを趣味にして楽しむことをおすすめします。
自分で出来ることは自分でするという習慣を持てば、何でもプロに頼むのと費用が大きく違ってきます。
例えば、壁の塗装をDIY(素人が自分で作ったり修繕したりすること。日曜大工)で行った場合を考えてみましょう。
刷毛やローラーといった用具の購入が必要で、個々の道具の値段も様々ですが、全体にかかる費用としては20万円〜30万円くらいが相場でしょう。
プロの塗装店に頼むと約70万円〜100万円ほどかかるので比べるとかなり安くすむことになります。
リフォームする際は当然施工会社への発注で費用がかかりますが、それも大きな所だけをプロに依頼し、簡単な手直しはDIYで行っていけばコストのかかり方が全く違ってくるでしょう。
▼こちらの記事もぜひご覧ください▼
関連記事4-4.凝った庭づくりは維持費節約の敵⁈
維持費を抑えるためには、なるべく自分で世話の出来るような庭づくりを心がけましょう。
樹木の剪定、肥料代、害虫の駆除、花壇やコンクリートの囲い、柵などの劣化による入れ替え……、すべて費用が掛かります。
凝った庭にすればするほど費用は嵩み、美観を保つためのメンテナンスも自分ですることが難しくなります。
家を建てたなら素敵な庭を作りたい! という夢をお持ちの方は少なくないでしょう。
けれども、凝った庭を作ったがために維持費が嵩んでしまう……というリスクがあることを覚えておいてください。
4-5. 省エネ対策を積極的に取り入れる
修繕費用ではありませんが、太陽光発電などの“省エネ対策” も、維持費の節約になります。
一戸建てはアパートやマンションに比べて、部屋数やバス、トイレの数が多いですよね。その分電気代もかかるので、維持費を抑えるには、光熱費をどうやって節約するかという工夫が必要になってくるのです。
太陽光発電などの省エネルギー設備は初期費用が掛かり過ぎるという方は、断熱性、気密性のある素材選び、窓の配置の工夫などによっても冷暖房費、照明代をかなり節約出来ます。
省エネルギー対策を積極的に取り入れて維持費節約に役立てましょう。
まとめ
一戸建ての維持費は、税金、保険費用、修繕費用の3つの項目に分けられます。
維持費の節約には、修繕費用を抑える必要があります。ポイントは、
・耐久性の高い素材を選ぶ
・アフターサービスを怠らない業者を選ぶ
・メンテナンスを自分ですることを苦にせず、趣味にして楽しむ
・凝り過ぎた庭づくりは避ける
・省エネ対策を積極的に取り入れる
の、5つです。
以上、一戸建ての維持費の相場や節約ポイントを、マンションとの比較も交えてご紹介しました。
永く安心して暮らせるマイホーム購入に、ぜひ役立てて頂けたらと思います。
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