
「延べ50坪くらいの注文住宅の建設費相場っていくらくらいなのかな?」
あなたは今、そう思っていませんか?
一般住宅で延床面積50坪(約165平米)はゆとりのある広さといえます。
注文住宅となると設計の自由度も高く、その建設費の相場がどの程度となるのか、とても気になりますよね。
ズバリ言います。延床面積50坪の注文住宅の相場は3,500万円です!
住宅金融支援機構が行った「フラット35」利用者への調査データから、注文住宅建設費に関する数字を読み取ることができます。
その数字から「1平米あたりの総建設費単価」がわかり、50坪程度の注文住宅の本体工事の平均値が算出できるのです。その計算の手順を披露します。
また、この記事では50坪の注文住宅の建築事例を価格帯別にご紹介して、どのような住宅をどの程度の金額で実際に建てているのか具体的にイメージできるようにまとめています。
さらには、建設コストを抑えるポイントもご紹介しているので、出費を抑える参考にしていただければと思います。
50坪の注文住宅の相場がわかり、あなたがイメージする家を建てるために、この記事がお役に立てることを願っています。
1.50坪の注文住宅の相場は約3,500万円
50坪の注文住宅の相場は約3,500万円(主体工事のみ)です。
住宅金融支援機構が行った「フラット35」利用者に関する2017年度集計データをもとに算出してみました。
この調査集計によれば全国の1平米あたりの総建設費の平均値は26.4万円。ここから延床面積50坪の注文住宅の建設費を計算すると次のようになります。
1平米の総建設費の平均値=26.4万円
50坪=約165㎡(1坪≒3.30579平米として)
26.4万円×165平米=4,356万円(50坪の総建設費)
この総建設費には本体工事以外に、付随する電気・給排水・ガス設備工事、外構工事等も含まれます(=付帯工事)。
住宅メーカーが提示する建設費は本体工事のみの金額というケースが多いため付帯工事を除いた金額を概算してみます。
総建設費のうち「本体工事」の占める割合をここでは概ね8割程度とみましょう。
4,356万円(総建設費)×0.8(8割)≒ 3,500万円
以上の計算から約3,500万円が50坪の注文住宅主体工事の相場だということがわかります。
※1平米あたりの建築費は、木造や鉄骨などの工法や使用する建材、こだわるポイントなど様々な条件によって変わってきます。相場はあくまでひとつの目安と捉えましょう。
参考:住宅金融支援機構 フラット35利用者調査 2017年度集計 注文住宅 第16表
建築工事費、坪単価については
▼こちらの記事に詳しく書いていますのでぜひご覧ください▼
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関連記事2.50坪の注文住宅の具体例
延床面積50坪前後の注文住宅にはどのようなものがあるのか、価格帯別に事例をご紹介します。
相場3,500万円とはいっても、それはあくまで目安です。建てる住宅メーカーや使う材料、工法などによって、その価格は変わってきます。
どのくらいの金額でどういった50坪の注文住宅を建てられるのか、予算に合せてイメージしてみましょう。
50坪の広さになると二世帯住宅を計画する場合もあるので、二世帯住宅も合わせてご紹介します。
①本体価格2,000万円台前半の家
【家族で趣味を楽しめる住まい】
2階平面図
1階平面図
広いLDKや階段、ビルトインガレージや音楽演奏を楽しめる部屋などを設けて、家族で趣味や生活を楽しめる空間が造られています。
丸窓や縦長スリット窓、横桟ルーバーなどでスタイリッシュに見せる外観や、グリーンの腰壁に3連の窓をアクセントにしたカウンターキッチンなどこだわりが見られます。
延床面積:151.13㎡(約45.7坪)
坪単価:50.3万円
工法:木造軸組
【二世帯/周囲の自然を背景に黒い外壁が映える住宅】
小屋裏平面図
2階平面図
1階平面図
17畳分のLDには南向きの窓や吹き抜け階段から光を取り込む設計によって、面積以上の広がりが感じられます。
周囲の豊かな自然と調和した外構植栽も魅力的です。玄関前は舗装部を広範囲に取って、日頃のメンテナンスの手間がかからないようにしています。
延床面積:162.32㎡(約49.1坪)
坪単価:41.4万円
工法:木造軸組
②本体価格2,000万円台後半の家
【バーカウンター付ガレージで遊び心を楽しむ家】
2階平面図
1階平面図
バーカウンターを設けたインナーガレージには、アメリカンヴィンテージ的なこだわりが見えます。ダウンフロアにしたLDKは、遊び心とともに広さをさらに感じられる空間になっています。
LDKは床から天井まで白を基調にしているため、より明るい室内に見えます。
延床面積:164.75㎡(約49.8坪)
坪単価:53.0万円
工法:木造軸組
【二世帯/家族と愛犬が快適に暮らすモダンな家】
小屋裏平面図
2階平面図
1階平面図
解放感があり、かつ、夏冬も過ごしやすいこと、愛犬の専用スペースを確保することにこだわった設計になっています。
LDK上部にある高さ5.2mの吹き抜けからは、明るい光が降り注ぎます。階段下には愛犬のスペースを確保。和室の収納は、隣接する洗面室の収納スペースを活かして空間を有効活用した造りになっています。
延床面積:145.61㎡(約44.0坪)
坪単価:64.8万円
工法:2×4、2×6(屋根部分は2×8)
③本体価格3,000万円台前半の家
【デザイン性と自然素材にこだわった家】
ロフト
2階平面図
1階平面図
自然素材の活用とともにデザイン性にもこだわった家になっています。趣味の車を3台収納できるガレージや、子どもが裸足で走り回れる屋上庭園など、趣味と快適な生活を満喫できる設計が特徴です。
人が集まるLDKには解放感を持たせるため、大きな吹き抜けが造られています。
建設地:神奈川県
本体価格:3450万円
延床面積:172.00㎡(約51.2坪)
坪単価:67.4万円
工法:木造軸組
【南国のリゾート感あふれる白い家】
2階平面図
1階平面図
国内外の良質な無垢材を使いわけて、外断熱二重通気工法を採りいれている家です。暑い夏も寒い冬も、最小限の冷暖房対策だけで快適に過ごすことができます。
リゾートでのくつろぎをイメージしたウッドバルコニーや、「スクエアでモダンな雰囲気に」という外観にもこだわりが見られます。
建設地:東京都
本体価格:3,300万円
延床面積:148.06㎡(約44.8坪)
坪単価:73.7万円
工法:木造軸組(外断熱二重通気工法)
【二世帯/狭小地に建つ木造3階建て兼ビルトインガレージの家】
3階平面図
2階平面図
1階平面図
準防火地域内の住宅密集地に建てた、木材を仕上げ材に利用している家です。LDKの扉はすべて開け放って廊下とつなげることが可能な構造で、狭小地でも解放感と明るさを確保できるようにしています。
細部まで自然素材や手仕事のこだわりを貫いた、木の香りとぬくもりが随所に感じられる住宅です。
建設地:埼玉県
本体価格:3,200万円
延床面積:159.22㎡(約48.2坪)
坪単価:66.4万円
工法:木造軸組
④本体価格3,000万円台後半の家
【デザイン性と機能性が伴った高気密高断熱のレンガの家】
屋根裏収納
2階平面図
1階平面図
19畳を超える広々としたLDと、そこからの各スペースへの動線がポイントの住宅です。玄関からLD、洗面室、台所へとスムーズに少ない距離で移動できる構造になっています。
家族で優雅に過ごせるように白いレンガの暖炉も設置。本格的な和の要素たっぷりにゲストをもてなす和室にもこだわりが見られます。
建設地:神奈川県
本体価格:3,900万円
延床面積:173.16㎡(約52.4坪)
坪単価:74.4万円
工法:木造軸組(鉄筋レンガ積み×木造軸組工法)
【防音室、坪庭、吹き抜けのある家】
2階平面図
1階平面図
LDKは白い床材を、廊下はウォールナット色の床材をなど、空間別に基調とする色を変える工夫が見られます。敷地に奥行きがあったので、光が家の中心部にまでしっかり入るように坪庭が造られました。
使う色や屋根の大きさなど厳しい景観規制がある中で、条件をクリアして品格のある外観を実現した住宅です。
建設地:京都府
本体価格:3,500万円
延床面積:165.99㎡(約50.2坪)
坪単価:69.7万円
工法:木造軸組
【二世帯/ほどよい距離感を保ち、木のぬくもりあふれる住宅】
2階平面図
1階平面図
1階と中2階を7段の階段でつないでスキップフロアを作ることで、程よい距離感を保つ2世帯住宅になっています。和のテイストや木のぬくもりを様々な部分に取り入れて癒しの空間を創造。
外構では、テラコッタタイルと300㎜角タイルを組み合わせたアプローチにもこだわりが出ています。
建設地:埼玉県
本体価格:3,945万円
延床面積:186.38㎡(約56.4坪)
坪単価:69.9万円
工法:木造軸組
【三世帯/両親姉妹で暮らす、薪ストーブのある家】
2階平面図
1階平面図
家全体で自然素材を活用した設計がポイントとなっています。外観はすべて木張りで、室内にも木材を多用したデザインを採用しています。
LDKには大きな窓で光を取り入れられるように工夫がされています。世代を超えて家族でくつろぐスペースにできるようにと暖炉を設置したところも特長的です。
建設地:神奈川県
本体価格:3,720万円
延床面積:171.48㎡(約51.9坪)
坪単価:71.7万円
工法:木造軸組
⑤本体価格4,000万円以上の家
【ビルトインカーポートを設置し、「和」の趣のある住宅】
3階平面図
2階平面図
1階平面図
ダイニングの小上がり畳コーナーは、施主お気に入りの居酒屋の造りを参考に設計されました。家族でゆったりくつろげる空間の演出にこだわりがみられます。
洗濯作業の動線をコンパクトにまとめ、サービスバルコニーのあるパントリーを設置するなど、家事の効率化を考えた間取りもポイントとなっています。
建設地:東京都
本体価格:4,000万円
延床面積:153.2㎡(約46.3坪)
坪単価:86.4万円
工法:2×4、2×6
【開放感の中で太陽と風を楽しむ家】
2階平面図
1階平面図
「素材感のある気持ちのいい家」をテーマにした家です。中庭を囲むようにL字型の構造を採用。間仕切りを少なくして解放感を出したほか、床材や壁材には自然素材を多用して、こだわりのテーマが叶えられています。
リビングでは、吹き抜けとデッキにつながる大きな窓から解放感が得られる造りになっています。
建設地:神奈川県
本体価格:4,700万円
延床面積:164.60㎡(約49.8坪)
坪単価:94.4万円
工法:木造軸組
【二世帯/住宅密集地でもゆとりを感じる3階建ての家】
小屋裏
3階平面図
2階平面図
1階平面図
和風で現代的なデザインと、ゲスト用のフロアを備えた二世帯住宅になっています。玄関部分に設置された縦横のルーバーから和の雰囲気が感じられます。
3階LDKの上部にはモダンな障子を採用。小屋裏への階段には踏み台にグレーチングを使うことで、光を下の階まで通せるようになっています。
建設地:東京都
本体価格:6,000万円
延床面積:169.94㎡(約51.4坪)
坪単価:116.7万円
工法:木造軸組
3.不要な出費をしないために
50坪の注文住宅となると費用は高額になるものと思われがちですが、コストダウンできる方法もあります。
工夫次第では、相場以下に金額を抑えることも、こだわる部分に集中的にお金をかけることも可能です。余分なコストをかけずに家を建てるポイントを押さえておきましょう。
3-1.同じ条件で複数の見積りを取る
基本構想の段階では同じ条件を複数の住宅メーカーや工務店に提示してそれぞれの概算見積り(相見積り)をとってみましょう。
同じ条件で異なる企業に見積もりをとれば、金額面だけでなく施工面に関しても、各企業の工事内容の違いが明確に示されて、どの企業が希望にそった家を建てられるのかの判断がしやすくなるからです。
例えば、冷蔵庫やエアコンを購入するとき、最初に行った店や最初に見た商品だけで購入を即決せずに、いくつかの店や他の商品も見てから購入を決めることの方が多いのではないでしょうか。
店のスタッフに商品の機能性を入念に確認することもあるでしょう。そうすることで、予算内で、機能面により優れた商品がわかるからです。
注文住宅も同じです。予算や延床面積50坪、部屋数、譲れないこだわりなどの条件を統一して相見積りをとることで、各企業の工事価格がわかります。
信頼して相談できる担当者がみつかることもありますし、依頼先によっては、同額で、期待以上の工事をしてくれるところも見つかるかもしれません。
ただし、これは詳細な設計(実施設計)まで終了した段階ですることではありません。あくまで初期の相談段階でやることですので注意してください。
3-2.コストカットのポイントは7つ
注文住宅を建てる際に金額を抑えるためには、次の7つがポイントとなります。この7つを把握して、どこにこだわってどこで無駄を省きコストカットするのか、家を建てる前に決めておきましょう。
①木造にする
価格を抑えるのであれば、工法は木造を選びましょう。
一般的には、木造が一番安く、次に鉄骨、鉄筋コンクリートと高くなるからです。これは、材料の重い鉄骨や鉄筋コンクリートを支えるためには、木造よりも頑丈な基礎工事が必要になることも大きく影響するためです。
家本体に使用する材料自体の価格も工法によって異なり、坪単価の目安は木造35万円~、鉄骨45万円~、鉄筋コンクリート60万円~です。
ただし、こだわりの木材を使って建てると木造も高額となります。
②シンプルな形状にする
住宅の形状はシンプルな方が価格を抑えることができます。
住宅を上から見たときに凹凸のない正方形や長方形の形状は、使用材料の面積を抑えることとなるのでコストカットにつながります。
逆に、コの字型やL字型など壁に複雑な凹凸のデザインを施すと、同じ床面積でも壁の面積が増え、その分だけ材料費と手間が発生します。デザインに合わせた複雑な形状の屋根材も必要になるので、さらに高くなります。
③外壁をサイディングにする
外壁に使用する材料を変えることでコストダウンできます。家全体を囲む外壁は面積が大きいので、材料が異なるだけで外壁工事の総額に影響するためです。
例えば、次の素材別に価格を比較できます。
外壁には大きくわけてサイディングとモルタルがあります。外壁面積1平米あたりの目安は、サイディングは2000~4000円、モルタルは5000~7000円で、費用が安いのはサイディングです。
サイディングボード(パネル外壁材)は材質によって価格に開きがあり、費用の安さ重視であれば窯業系や樹脂系のものが良いです。
耐久性や質感重視であれば、金属系や木質系が向いています。
なお、耐久性と建築後のメンテナンス価格も含めた総額を考えるとモルタルにもメリットはあります。
④高いグレードの内装を避ける
内装も外壁と同様に面積が広いので、使う材料によってコストを抑えられます。価格を抑えたい場合は必要最低限のグレードを選びましょう。
ビニルクロスは、値ごろ感やメンテナンスのしやすさなどからよく選ばれています。
壁面積1平米あたりの目安の費用は1000円程度、防汚などでグレードが上がると価格もあがります。
布クロスは1200円、不織布クロスが2400円、シルククロスの目安が1万円です。
紙壁紙は安いもので1500円、グレードが上がると2000円以上のものもあります。
タイルは5000円~1万5000円と価格帯の開きが大きいです。
⑤不要な部屋を造らない
部屋数を必要最小限に抑えることで、家を建てる総額を抑えることができます。不要な部屋を造らないように工夫をしましょう。
当然ですが部屋数が多ければ、壁の数や面積も増え、その分だけ材料費がかかります。
部屋数を最小限にすることで、家の奥まで光を届くように設計できたり、通気性を高めたりすることも可能です。
生活動線や家族計画、建築後のライフプランを考えて、必要な部屋数を事前に考えておくようにしましょう。
⑥高いグレードの水回り商品を避ける
注文住宅の総額を抑えたい場合、水回り商品に不要な機能やデザインのものを選ぶのは控えましょう。
お風呂や台所などの水回りは機能面やデザイン面で品揃えが豊富で、グレード違いで10万円単位で価格が上下することもあります。
例えば、タカラスタンダードの戸建住宅用システムバスは約40万円~約130万円と価格帯は幅広いです。
TOTOのトイレは腰掛便器だけを見ても25万円~62万円と、こちらの価格帯にも開きがあります。
希望の機能性やデザイン、組み合わせ方などをよく考えて選ぶようにしましょう。
⑦オプションには必要最低限のものだけを付ける
小屋裏収納、床暖房、ウッドデッキ、太陽光発電などのオプションは、必要最低限のものだけを設置するようにしましょう。
建てる会社や機材のメーカーによって金額に違いはありますが、例えば約3坪の小屋裏で25万円前後、床暖房は電気式だと約3坪2回路で30万~40万円、ガス式だと約4坪で50万~60万円が目安です。
床暖房の場合は設置後のランニングコストも発生しますので、それも加味する必要があります。
オプションは、予算やこだわりを踏まえながら、本当に必要なものなのかをよく検討して設置するようにしましょう。
4.まとめ
延床面積50坪の注文住宅の全国平均相場は約3,500万円。
ですがこれはあくまで目安であり、地域差や工法、工務店の得意とする工事内容などによって価格には違いがあります。
価格別の建築事例を参考にして、どういった注文住宅をどの程度の金額で建てられるのかをイメージしていただけたでしょうか。
注文住宅を建てるとき、コストを抑える方法もあります。こだわりたいところ、妥協してもいいよころをしっかり考えて、無駄な出費をしないようにしましょう。
注文住宅は、オーダーメイドで建てることができ、自由度の高いところが魅力です。あなたが満足する50坪の家を建てるために、この記事が参考になることを願っています。
▼次にぜひお読みいただきたい記事です!▼
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