ゼロエネルギー住宅(ZEH)|メリット・デメリットを徹底解説!

ZEHイメージ

最近耳にすることが増えた「ZEH」「ゼロエネルギー住宅」ってなんだろう?

エネルギーを使わなくては生活できないのに、いったいなにが「ゼロ」なのだろう?

そんな疑問を感じていますか?

この記事では、ゼロエネルギー住宅(ZEH)がよくわかるように解説したいと思います。

さらに、ゼロエネルギー住宅のメリット・デメリットと注意すべき点、設備の導入費用や補助金についてもご説明します。

これからの時代、家を新築する方は絶対知っておきたい「ゼロエネルギー住宅」について理解し、家づくりのイメージをさらにふくらませるお手伝いができれば幸いです。

1.ゼロエネルギー住宅とは

太陽光発電

ゼロエネルギー住宅とは、快適な室内環境を持ち、エネルギーをあまり消費せず、かつ、エネルギーを創ることができる住宅です。ゼロエネルギー住宅のゼロは、以下を指します。

ZEHとは

誤解をしないでほしいのですが、自給自足というわけではありません。

例えば太陽光発電でエネルギーを創る場合、日照時間の長い春から夏にかけては自分で使う以上の電気を創って売り、充分な日照が得られない秋から冬には不足分の電気を買います。

そうしたエネルギーの売り買いの年間収支が、おおむねゼロになるのがゼロエネルギー住宅というわけです。なお、ここでいう「収支」は、お金ではなくエネルギー量のことです。

快適かつ省エネで、人にも環境にも優しい家を目指したもの、それがゼロエネルギー住宅です。

参考までに、経産省資源エネルギー庁が策定した「ZEHロードマップ」では、ゼロエネルギー住宅は次のように定義されています。

外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅のこと

ZEH図説

一次エネルギーとは?
石油・石炭・天然ガス・ウラン・太陽光など、自然界から得られた変換加工しないエネルギーのこと。電気や都市ガスは計量単位が異なり、そのままでは合算できないので、一次エネルギー換算で考えます。

2.ゼロエネルギー住宅の3つの条件

ゼロエネルギー住宅と認められるためには、高断熱、省エネルギー、創エネルギーという3つの条件を満たす必要があります。人にも環境にも優しいゼロエネルギー住宅の条件を、詳しくご説明します。

条件1 断熱構造

ZEH基準

(出展:ZEHの普及促進に向けた政策動向と 平成30年度の関連予算案 -資源エネルギー庁-)

ゼロエネルギー住宅の第1の条件は、高断熱であること。これによって、暑いときも寒いときも家の中の室温を一定に保てるようになります。

具体的には、床や壁、天井、窓などの開口部から熱を逃がさないために、断熱材を使ったり断熱サッシとペアガラスを使うことで断熱性能を高めます。

熱を逃がさない、つまりエネルギーロスを小さくするための断熱工法には、大きく2種類あります。

ひとつは、壁の内部や天井裏、屋根裏に、グラスウールなどの断熱材を入れる「充填断熱工法」

もうひとつは、建物の「外皮」にあたる壁や屋根に断熱性能の高い材料を使用する「外張断熱工法」です。

これらの工法を用い断熱性を高めることによって、過ごしやすい室内環境を保つことが、ゼロエネルギー住宅第1の条件です。

条件2 省エネルギー

エネルギー20%削減

(出展:ZEHの普及促進に向けた政策動向と 平成30年度の関連予算案 -資源エネルギー庁-)

第2の条件は、省エネルギーです。一般的な家庭が使用するエネルギー量(基準一次エネルギー消費量)と比べて20パーセント以上の省エネになることが求められています。

エネルギー使用量を20パーセント削減するためには、より効率の良い機器を導入しなくてはなりません。

家庭でもっとも多くエネルギーを使うのは、給湯器と暖房器具です。

さらに電気だけで見ると、冷蔵庫、照明、テレビ、エアコンが、電力使用量のおよそ4割を消費しています。

いずれも生活に欠かせず、稼働時間が長いものばかりなので、省エネ性能の高いものを選ぶ必要があります。

高効率機器を導入することで、エネルギー使用量を大幅に抑えること。これが、第2の条件となります。

高効率機器に関する情報は、資源エネルギー庁が発行している『省エネ性能カタログ』を参照してください。

条件3 創エネルギーシステム

エネルギーを創る

(出展:ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について -資源エネルギー庁-)

第3の条件は、再生可能エネルギーの導入。加えて、年間の一次エネルギー収支がおおむねゼロになることです。

つまり太陽光発電などを利用し、年間の消費量に相当するエネルギーを創ることが必要になります。

年間のエネルギー創出量とエネルギー消費量がだいたい同じであればいいので、日照時間の長い春から初夏にかけては余剰電力エネルギーを売り、秋から冬は不足する電力エネルギーを買うことになります。

再生可能エネルギーを導入し、なおかつ年間のエネルギー収支をおおむねゼロにすることが、ゼロエネルギー住宅第3の条件です。

3.ゼロエネルギー住宅のメリット4つ

家イメージ

「快適な室内環境」と、「年間で消費するエネルギー量が正味でおおむねゼロ以下」を同時に実現するゼロエネルギー住宅には、多くのメリットがあります。

メリットを具体的に知ることによって、ゼロエネルギー住宅への理解を深めることができます。

メリット1 快適に暮らせる

ゼロエネルギー住宅では、室内が快適な状態に保たれます。断熱がしっかりしている住宅では、室温の急激な変化がなくなるからです。

室温が保たれることによって、以下のような効果があります。

・冬の起床時、ゼロエネルギー住宅では、室温の低下が従来の住宅の半分程度

・冷暖房の効きがいいため、少ない電力で家の中を適温に保つことが可能。暖房はこれまでより1度低く、冷房はこれまでより1度高い設定温度で、快適にすごせる

快適に過ごすことができるのは、高断熱がもたらす恩恵です。

健康を守る効果も
浴室(脱衣場)が極端に冷えこむことがなくなるため、ヒートショックの危険性が低く抑えられます。また、高断熱化によって結露の発生も抑えられます。結露がないと、健康を害するカビやダニが繁殖しにくくなります

メリット2 災害に強い

ゼロエネルギー住宅は、災害時にも強みを発揮します。大規模災害などで発電所や送電施設が被害を受け、長時間の停電が発生した場合でも、自宅の設備さえ無事なら電気が使えるからです。

電気自動車から住宅に電力を供給する仕組みを利用すれば、夜間や悪天候のときでも電気が使えます。

ゼロエネルギー住宅は、災害への備えにもなります。

メリット3 エコフレンドリーである

エコフレンドリーであることも、ゼロエネルギー住宅の長所です。

そもそものエネルギー消費量が少なく、太陽光などの再生可能エネルギーを活用するゼロエネルギー住宅は、温室効果ガスの削減効果が高く、環境に与える負荷を小さくできるのです。

近年の異常気象の原因となっている温室効果ガス排出量を削減し、環境保護に貢献できることは、ゼロエネルギー住宅を建てるメリットです。

メリット4 補助金が交付される

ゼロエネルギー住宅には、補助金が交付されます。

温室効果ガスの排出量を削減するため、経済産業省が補助金を交付して、ゼロエネルギー住宅の普及を促進しています。

交付額は年度ごとに決定されます。平成30年度の交付額は70万円/戸でした。

補助金

太陽光発電の設備などを導入するには多額の費用がかかりますが、補助金で一部をカバーできることは、大きなメリットです。

*ZEHビルダー/ZEHプランナーは、環境共創イニシアチブ(SII)のサイトで調べることができます。
参考:「平成30年度のZEH補助金について

4. ゼロエネルギー住宅のデメリット4つ

太陽光パネル設置

魅力的なメリットのあるゼロエネルギー住宅ですが、デメリットもあります。より後悔の少ない選択をするために、デメリットも知っておきましょう。

デメリット1 初期費用が高い

ゼロエネルギー住宅の建築費は、一般住宅と比べて高額になります。

建物の高断熱化、および省エネルギー機器と創エネルギーシステムの導入が必要になるためです。

一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)によると、ゼロエネルギー住宅では250万円~300万円程度が、一般住宅の建築費用に上乗せされます。

(出典:朝日新聞:「広がる『ゼロエネ住宅』」2015年11月14日付朝刊)

初期費用が高いことは、大きなデメリットといえるでしょう。

デメリット2 設備のメンテナンス費用が必要

創エネルギーの主力である太陽光発電システムには、メンテナンスが必要です。

これは、発電効率を保つために定期点検・整備が欠かせないためです。

特に風雨にさらされる太陽光パネルには、汚れや傷、サビなどが生じる可能性があり、放っておくと発電効率が落ちてしまいます。

太陽光発電システム保守点検ガイドラインでは、設置後1年目、その後は4年ごとの定期メンテナンスが推奨されています。メンテナンス費用の目安は、2万円程度です。

屋根に設置されるソーラーパネルは、破損などがあってもユーザーが見つけることは困難です。知らないあいだに発電効率が落ちてしまったということがないよう、メンテナンスが欠かせません。

参考・太陽光発電システム保守点検ガイドライン – 太陽光発電協会

デメリットではないという試算も!
デメリット1、2の「コストアップ」については長い目でみるとむしろメリットがでるという見方もあります。
つまり、ZEHでなければ住まい手が延々と払い続けていくであろう光熱費や、健康被害により払うことになる医療費が減少することによる経済メリットのほうが大きいという試算もあるのです。

 

デメリット3 天気に左右され発電量が一定しない

太陽光発電の泣き所は、天気に左右されて発電量が安定しないということです。

太陽光という自然の恵みを利用している以上、天気の影響は避けられません。必要量を発電できなければ不足分を買うことになり、結果として光熱費があがってしまいます。

太陽光発電は天候に左右されるということは、認識しておきましょう。

デメリット4 設計に制約が出る可能性がある

ゼロエネルギー住宅では、以下のような理由によって建物のデザインに制約がでる可能性があります。

・ソーラーパネルを設置するために、南向きの屋根の面積を大きくしなくてはいけない。

・創エネルギーシステムや蓄電池の設置場所を確保しなくてはならない。

・大きな開口部からはエネルギーが失われやすいため、窓を小さくしたり、断熱性の高いサッシやガラスを使ったりといった対策が必要になる。

ゼロエネルギー住宅の機能を満たすために設計に制約が出る可能性は、心に留めておきましょう。

5. まとめ

ゼロエネルギー住宅とは、消費するエネルギー量を自分で創り、年間の一次エネルギー消費量の収支がおおむねゼロになる住宅のことでした。

その条件であり特徴といえるのは、断熱性が高く快適であること、給湯器やエアコンなど省エネルギー性にすぐれた機器を使っていること、

さらに太陽光発電をはじめとした創エネルギーシステムを持っていることです。

メリットだけでなくデメリットもありますが、ゼロエネルギー住宅は環境に優しく快適な住まいといえるでしょう。

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